第18話 忘れ時の出会い

ぱらり、ぱらり。

撫でるように頁を捲る。

紙特有の滑らかな感覚が指先を滑り、視界の先で印字が踊る。

展開する物語に目を走らせ、一文字、一行。

なぞるように文字を眺めて、ふと。

舞い込む違和感に思考を巡らせる。

あれ、この本、どこで知ったんだっけ。

思い出せない。

手がかりもない。

でもまぁ、いいや。

止まらない、止められない。

貪るように読み進めれば、ぱたん、と。

終わりの見えた指先の世界から、ふっと現実に帰還する。

面白い、興味深い。

そんな言葉では言い表せないほどの高揚に身を包み、火照りを落ち着けようと窓を開けた。

ほんとに、どこで出会ったんだっけ。

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