第14話 幸せの崩壊

幸せが崩れていく音がする。

ガラガラと、音を立てて。

傷口からどくどくと血が溢れるような、あるいはその傷口を抉られるような。

そんな不吉な光景を、目にしてしまったのではないかと。

心臓が煩い。

ズキズキと頭が痛む。

幸せだった二人の家は、いつから壊れてしまったんだろう。

家に帰ったら彼氏の浮気現場に出くわしてしまったなんて、あまりにもありきたりで笑えない。

零れ落ちた涙のその先で、歪んだ笑顔を作る誰かが言った。

「バッカみてぇ」

ははっ、と乾いた笑い声を上げるその人が、自分の彼氏だなんて思えなかった。

足音。

確かに重力を感じさせるその質量が、地獄のように思えて仕方ない。

「ねぇ、なんで俺のこと好きになっちゃったの?」

そういった貴方が一番苦しそうな顔をするから、何も言うことができなかった。

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