徒然に語る日記なるもの
とみき ウィズ
第1話 読む映画を目指すの巻、または今までの人生で最高の映画館
東京歌舞伎町に新しく出来る映画館は一席6500円の所もあると言い、ネットでは高いか安いか様々な声が見られます。
あなたにとって人生で一番最高の映画館とはどこでしたか?
私にとって今までの人生で最高の映画館とは…高校の視聴覚室でした。
今から40年以上前、高校の頃映画研究部に所属していた私にとっては、冷暖房も無くて冬は厚着をして白い息を吐きながら、夏は遮光カーテンを時々めくって辛うじて呼吸が出来る空気を入れて汗だくになって、自分達が知恵と工夫を凝らした、荒い画面でフィルム横の貧弱な磁気テープに録音された低質な音が貧弱なスピーカーから出る、あの8ミリフィルムで撮影した映画を夢中で見た視聴覚室です。
当時、根拠のない自信に支えられて、ゴダールやトリュフォー、キューブリクやタルコフスキー、オーソンウェルズを同列の者として語り、俺だったらこういう演出にするああいう演出にする、モリコーネに音楽を頼むにはいくら必要なんだろうか?とか、ジャンギャバンは今でも頼んだ通りの演技が出来るのだろうか?とか、あの頃出始めた角川映画の出来の悪さを散々にけなしたり、また予告編に騙されたと激怒したり…。
あの頃の私達はセンスと情熱では巨匠たちにも一歩も引けは取らないんだと思い込んでいました。
文字通り、息を止めて集中して8ミリフィルムの荒い画面を見つめました。
今、あの頃の視聴覚室でもう一度映画が見れるなら1万円、いや10万円、もっと大金を積んでも良いとさえ思います。
今私は還暦を迎え、細々とネットでアマチュア小説を連載しています。
しかし、アマチュアの趣味で終わらせるつもりは有りません。
これは読む映画だと自分に言い聞かせながら書いています。
映画の脚本の原型だと思って書いています。
いつか本当に映画やアニメに出来るように頑張って書き続けています。
高校生の頃に胸に抱いていた火傷するほど熱い情熱と無敵だと思い込んでいたセンスを引っ張り出して書き続けています。
私にとって最高の、夢と共に映画を見たあの、視聴覚室が、私の最高の映画館です。
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