運命は宙を舞う

シカクイホシ

第1話

 この世界の人間は男と女に性別が別れ、そこから枝分かれするように第二の性、オメガバースがある。

オメガバースには、三つの階級と特性がある。


 α(アルファ)は上級階級であり、数は少ないが頭脳に運動能力には長けているため、支配者、エリートとなる者が多い。昔の偉人達はアルファであると言っていいほどに、彼らは偉大な力を生まれ持っている。


 β(ベータ)は中級階級であり、人類中でも特に多く約8割を占める。頭脳、運動能力は負けず劣らず、普通であるが血が滲むほど努力すれば、アルファを超える事ができるらしい。ここでは平凡な一般人と言っておこう。


 そして、下級階級のΩ(オメガ)である。数はαよりさらに少なく、見れたらハッピーなぐらいだ。

 6個ある台形のアイス中に、たまにハート型のアイスが1つ紛れている事があると思うがそれぐらいの珍しさだ。

 そのハート型のアイスは1番厄介で、体は弱く、男女関係なく赤ちゃんを産む為に作られた身体はヒートという発情期が周期に来ては、優秀なαの人間を誘うのだ。誘われたαは意思関係なく頭の中は犯すという一文字しか考えられなくなり、暴行、強姦が後をたたない。

 決してΩの人間も誘いたくてやっている訳ではなく、生理現象なのでどうしようもない。しかし、αからしたら、無理矢理誘導されてやらされたと怒りを漏らすのは当たり前だ。そして発情期は数か月毎に訪れ本人たちの思考と体力を奪う。

 ここまで踏まえて、社内的地位が低いのも察して欲しい。


 今のご時世、性差別はなくそうと唱えるものが多くなったが2000年刷り込まれた常識を取り払うには後2000年必要だと俺は常々思う。

 αは優秀である事を願われ。βはどれだけ頑張っても普通にしかできないと言われ。Ω疎まれ、か弱い役を望まれる。

 要に言いたいのは、決められた枠組みを外すのは簡単じゃ無いという事だ。


「あっ、星とハートがある」


 白い息を吐きながらアイスのパッケージを綺麗に開けると、いつもなら入っていない6個の中に星型とハート型が2つ入っていた。

 

「よつやーーそろそろ帰ってこい!運ぶぞ」

「はい、わかったよ」


後ろから声が聞こえる。きっと終わったのだろう、俺は6個のアイスを急いで頬張った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る