ハグは悪

 定例会、田中さんと2人で会う時の事をそう勝手に読んでいたりする私。

 そんな定例会が終わり、改札でバラバラになる時のこと。

 私は交通電子マネーを忘れてしまい、切符を買って改札に入ろうと田中さんに手を振った。その時、彼女の目に涙が浮かんでいた。

 

私はたまらなくなって、田中さんを許可なくつい、抱きしめた。寂しいのかと思って。


「こうすると気持ちが落ち着くんだって。」


すると田中さんは、3歩くらい後ろに下がった。


「...」


田中さんは驚いた顔をしていた。

私は辛くなった。


私はそのまま改札に入り、早足でホームを目指した。


私の目から、涙が溢れた。




次の日は仕事だった。


私は悔しくて、田中さんに対する態度を変えた。


「あの、玉置主任、こちらの案件についてですが」

「田中主任、そちらは私が引き受けますので、昼食は早めにとってください」


田中さんに昼食を先に取るように仕向けた。

私は、田中さんとしばらく顔を合わせたく無かった。


私は、時間をずらして昼食を取ることにした。


私が食堂へ入ると、券売機の近くで田中さんが待っていた。


「玉置主任…」


「なんでそこに田中さんがいるのよ。昼食は?」


「取ってません。ご飯が喉を通りません」


「何で?」


「昨日は眠れませんでした」


「何かあったっけ?」


「玉置さんはどうして寝て食べられるんですか?」


田中さんの声のトーンが上がった。


「屋上に行こう」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る