ロボットの異世界転生物語~【第1章】ヴァイオレットとミィナの師弟生活~

瑠栄

_____これで良いのか、師弟関係。

"コツコツコツ・・・"


 長い長い暗い廊下に、足音だけが響く。


 空は夜のように暗く、不気味なシルエットが遠くに浮かんでいる。


"ピシャーン"


 雷が鳴り、視界が一瞬明るくなる。


 小降りの雨まで降って来た。


 そのまま真っ直ぐ行くと、アンティークの扉が迫って来る。


"コンコン"


 扉を控えめに叩く。


「・・・いいぞ」


 中からアルトボイスの声が聞こえ、出来るだけ静かに開ける。


"ガチャ"


 重い扉を開け、私は目の前にいる女性に静かに声をかけた。


「・・・ヴァイオレット」


「何だ?」


 間髪入れずに問い返してくる師範に、私は目を伏せた。




「・・・変な魔法を急に作るの、やめてくれます???」


「いやー、すまんっ!!どうしても、やってみたくてなぁ」


「失敗してるじゃん・・・」


 呆れてため息をつく私とは対照的に、師範であるヴァイオレットは悪気も無さそうに愉快に笑っている。


 _____これで良いのか、師弟関係。

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