魔法少女のささくれちゃん
月影澪央
第1話 魔法少女レム
ある日俺は、転校生としてとある学校に潜入した。
突然だが、俺はとある機関に所属する暗殺者だ。そうは言っても、暗殺者というのは名ばかりで、実際は探偵だとかスパイだとか、殺し以外の仕事の方が多い。その方が安全で長生きできると思っているので、それが嫌だとかは思っていない。
そして今回は人探しが目的だったが、調べたところ、そう簡単にいく話ではなさそうだった。
俺の探していた人物は、『魔法少女』のレムだった。
この世界には、非現実的なことが日々起こっている。みんなが知らないだけで、それは自然と発生している。そんな自然発生する非現実的な事象を制御しているのが俺が所属する機関だ。
各国には同じような機関がそれぞれ存在し、機関は常人には対応し難い事象や問題を解決し、世界を平常に保っている。
その期間に所属する人間も非現実的な事象を操る人間だ。俺も少なからず、常人ではないことは自覚している。
そして俺の探す魔法少女は、文字通り魔法が使える魔法少女だった。だが任務に出たきり音信不通になり、調査の結果その任務で命を落としただろうと結論付けられた。
だが俺たちの元には、まだ魔法少女は生きていると思われる情報があった。
うちの機関には、未来予知のような能力を持つ人間がいる。その人物が調査通りの死を事前に知っていたかは別として、調査結果が出た後に魔法少女に関する問題が起こるというのが見えたとその人物から言われた。その問題というのは、俺たちが対応しないといけないような問題のことだ。
ちなみに俺はその人物とかなり仲がいいので、嘘ではないと思いたい。
俺はそれを真として、レムに関する情報を集めた。ついでに、魔法少女についても。
魔法少女は、代々その力の源となるペンダントを引き継ぐことによってこれまで存在し続けていた。その代償――と言っていいのか、一度その力を使った者はペンダントを失うと身体の状態に関わらず死亡する。それが力を持つ代償のようだった。
機関に所属する俺たちみたいな――いわゆる異能力者には、魔法少女ほどではない必ずしも代償がある。未来予知のそいつは体が弱くて一歩もベッドから出られない。次の未来予知の能力者が覚醒するまで、点滴で命を繋いでいる。それでも不思議と生きていられるのは、世界がそう望んでいるからだろう。
その魔法少女に関する情報が正しければ、確かにレムは死んでいるが、魔法少女は死んでいない。
調査でレムが死んだとわかったのは、その遺体が見つかったからだ。だが俺が思うに、その時の任務は命を落とすようなものではなかった。何か致命傷になるような傷もなく、魔法少女の代償で死んだ可能性の方が高そうだった。まあ、傷は自分で治せるのでなんとも言えないが。
そして調査結果が出たにも関わらず俺が未だに人探しをしているのは、魔法少女が誰に渡ったのかを探し、その人物に起きる問題を解決し、魔法少女を取り戻すためだ。
誰に渡ったのかは、レムが死んだ地点の監視カメラを調べるなりしてすぐに調べられる。問題の解決は何が起こるかによってだが、それは未来予知の奴が直前で分かれば教えてくれるだろう。
最後に魔法少女を取り戻す方法だが、ペンダントを取り戻せればいいが、できない場合は殺してでも奪え、魔法少女の存在を一般人に知らせてはならない、という通達があった。これは俺が一番適任だろう。
一つ問題なのは、魔法少女取り戻すとして次は誰が魔法少女をやるのかという問題だ。
まず今ペンダントを持っている人物、つまり一般人を魔法少女とするのは適性というものがあるので論外だ。次にレムの親戚、魔法少女の血筋はもう誰も生き残っていない。これを考えると、しばらくもしくは俺が死ぬまで俺が魔法少女となる可能性が高い。それは上からも言われた。
だが俺はこれに納得がいっていない。ちなみに俺はちゃんと男だ。なのでもしそうなれば、魔法少女ではなく魔法使いとでも名前が変わるだろう。二つの能力を兼任し、血筋も途絶えたので次の適性者も見つからない。俺が代わりにやっても、それは一時的なものにすぎない。
俺が代わりにやって務まるのかという点については、基本的に他の能力保有者なら大丈夫で、過去に血筋の子供が育つまで預かっていたことがあるとのことだった。
話が逸れたが、俺はまず第一段階のペンダント所持者を特定し、今に至る。
ターゲットは隣の席の
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