雨過天晴
田中ソラ
プロローグ
「すきです」
そう告げた時、彼の表情は見えなかった。でも嫌悪に塗れているだろう。
女嫌いの彼が好きだった。友人になんて、恋愛対象になんて見られなかった。でも諦めるために告白だけはしたかった私の我儘で彼を振り回した。
一言も言葉を発することなく、彼の視界にすら入れないまま立ち去るその背は私の記憶に嫌というほど鮮明に残った。
多分生涯、忘れることはないだろう。
「ごめんなさい」
そう告げた言葉は、彼の胸に届かなかっただろう。
こんな気持ちを抱いてごめんなさい。好きなってごめんなさい。女になってごめんなさい。
貴方と、出会ってしまってごめんなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます