志岐谷蒼は扉を開く~扉の向こうにセカイが在って、あたしを待ってた物語~

ハルパ

第1話 扉

 ――なにこれ?


 あたしの部屋のドアの前に、小包がひとつ置かれていた。

 置き配ってやつ?

 そんなもんオッケーした覚えないんだけど。無断で置き配っていいんだっけ?


 小包の送り先は……


 あ、おばあちゃんからだ。なんだろ?


 ドアを開け部屋へ入って小包を開ける。中には手紙と共に新聞紙に包まれた何かがひとつ。


「なんだろ? さつまいも?」


 さつまいもひとつっておかしいだろ! ってツッコミがどこからか聞こえてきたような気がするが、見た目はどう見てもさつまいも。

 まぁ頭のいい私、さすがにそんなことはないだろと気を取り直して新聞紙をゆっくり開いていく。


 ――え、なんで? なんでこんなものが……


 新聞紙で包まれていた物体、それは『眼鏡』だった。

 え? どういうこと? 全く意味がわからないんですが。

 小包と同封されていた手紙の存在に気づいた私は、おもむろにそいつに目を通す。


 ――あおちゃん元気にしとるか? 仕事は慣れたか? おばあちゃんは元気やぞ。


 字汚ねえなぁ。A4の紙、しかも新聞広告の裏に文字こんだけ。まぁおばあちゃんならこんな手紙もありっちゃありだ。大雑把な性格だしねぇ。

 あれ? もう1枚ある。A 4の紙には続きがあった。それもこっちの紙は新聞広告じゃない。よくあるA4の普通紙だ。


 ――眼鏡を見てどう思った? 掛けてみたいと思ったか? もし掛けてみたいと思ったなら……


 ――掛けてみろ。


 手紙はこれで終わり。え? 意味がわかんないんですけど。

 実は最近あたしは何故だか視力が落ちてきていた。前は両目とも視力2.0あったのに、今では0.8程度。見えないわけではないけれど、小さい文字とか遠くの景色がぼやけるようになってしまった。おばあちゃんあたしの目が悪くなってるの、何処で知ったんだろ? お父さんにでも聞いたのかな?

 おばあちゃんからの贈り物。

 掛けてみたいと思ったなら掛けてみろときた。

 まぁ眼鏡を渡されて掛けてみたいか掛けてみたくないかと問われれば……


 ――そりゃ掛けるでしょ!


 これが失敗だったのか、それとも正解だったのか……

 眼鏡を装着した視界の先に広がっていた


「え、な、なに、なになになに!?」


 1K6畳一間の我が居城で、眼鏡を装着した私は呆然としていた。なんで? どういうこと? なんでこんなもんがここにあんの?


 眼鏡越しに見る部屋のど真ん中には何故だか……


 ――古びた扉がそびえ立っていた。




     ◇ ◇ ◇ ◇




 ※当拙作をご覧いただき誠にありがとうございます。


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 →https://kakuyomu.jp/works/16818093073566555415#reviews

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