悪役貴族Re:Life ~殺された悪役貴族ですが平穏に生きます?だからお前らは近寄るな~

神無月 イルム

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第1話 おいおい、まじかよ

「これでおわりだ!!!!」

光り輝く剣に貫かれ血を吐く


「なぜ、私が殺されなければならぬ。この国の闇は深い。

正常に戻すことこそ私の役目だというのに、、、。」


「なにを言っているんだ!!お前のせいでどれだけの人が苦しみ

罰を受けてきたと思っている。」

「そうよ、あなたがした行いは許されることではないわ。」

男と取り巻きの女は俺を責めるように騒ぎ立てる。


(だまれ、俺が死んでも新たな悪党が出てくるだけだ。)

(俺はこの国をよくしたかった。腐敗した政治、蔓延する麻薬、こいつらは何も知らない。)

「黙れ、、、、。」

「は???」


「だまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

俺の体から魔力があふれ出す。


「な、、どこからこんな力が」


「周りに踊らされるお前は無能だ、少しは自分の頭で考えてみろ。主人公」


「主人公??何の話だ?」


(そうだ、なぜ今俺はこいつを主人公だと言ったんだ)

その瞬間に膨大な記憶が頭に入ってきた


「グぅッ、頭が、割れそうだ。」

(そうだ、これは僕の記憶)


ーサクリファイスロード通称サクロー

僕の時代に一世を風靡したゲーム

主人公は物語の途中で傲慢不遜な悪役貴族を討伐する

しかし物語が進むにつれその悪役貴族は陰ながら主人公を助け

デライド王国の闇を刈る貴族だったことが分かり

自責の念に苛まれるがハーレムの女性たちのおかげで立ち直り

国王になる物語だ。

俺は主人公が嫌いだった。

悪役貴族の両親は冤罪で処刑されメイドは裏切り尊敬してくれた使用人や領民

全てが処刑されてしまう。腹立たしいゲームだった。


(なんで報われずに地獄を見せられなきゃいけないんだ。)


「なぜこのタイミングで思い出すかなぁ、、、いや、思い出すというより入れ込まれたに近いのか」

「なにを訳が分からないことを言っている!!もういい、これで本当に最後だぁぁぁ!!!!」


(あ~ぁ、ゲームだともう俺の回終盤じゃん。絶対死ぬじゃん。)


今回もまともな人生じゃなかったなぁ、、、。

20歳まで生きれない呪いでもかけられているのだろうか、、、。


内心で独り言ちながら近づいてくる剣を見つめる。


ー視界は黒く染まった。



「、、、、、-ク様、、、、、、ジーク様、、、起きてください」

「ン、、、ゥん、、、」

「ジーク様、起きないと、、、、いたずら、、しちゃいますよ??」

「ぅうん、、、。」


朝日がまぶしく目を開けるのに時間がかかる。

目を少し開けるとメイドの顔が目に入る

「な?!なんで?!」

「どうされたのですか?ジーク様?寝ぼけていらっしゃるのですか??」

フフフと口に手を当て微笑する


彼女はルイス=カルティ

盗賊にさらわれそうな所を俺が助けた伯爵令嬢だが

恩を返すといい俺のメイドになったがゆくゆくは俺から離れていくサクローのヒロインだ


「夢??だったのか??」

「何かいい夢でも見られたのですか??」

「いや、、、、それより今日はいつだ??僕の年齢はいくつだ??」

「えぇっ?!どうされたのですか?!ジーク様!!」

「だ、大丈夫だ。だから頼む」

「本日は新王歴5年の4月4日でジーク様は10歳ですよ。」


物語の始まる5年前だと?!

サクローは新王歴に変えた王があほすぎて

宰相の傀儡になり果てる無能の王だった。

物語が始まるのはジークフリード=アルカナインが15歳の時

王国の腐敗が表に出始める


「あと5年、、、いや、今でも少なからず影響はある。まずい、まずいぞ。」

ゲームではアフターストーリーとして過去編が出ていた

ゲームでは物語の3年前から貴族どもが裏ギルドと手を組み

犯罪を犯す描写があった。


「?どうされたのですか??」

ルイスは頭をこてんと倒し頭上にはてなマークが浮かぶようだった。


「こうしてはいられない、まずは父上に、、、、

ルイス!父上は書斎か?!」


「は、はい、、。そうですが、、、。」


「案内を!」


「か、かしこまりました、、。」

何が何やらといった様子でルイスはひとまず

案内係に徹してくれた。



大きな木目の扉の前に立つ。

「父上!!お時間よろしいでしょうか!!」


「入って、構わないよ」

優しいような厳しいような声色で返答があり

僕は扉に手を掛けた。




「急に来たと思ったら剣術と魔法の教えを速めてほしいのと日数を増やしてほしいだなんて。昨日はまだ早いって言ってなかったかい?」

(昨日の俺のバカ!!)

「昨夜改めて考え直しやはり必要だと認識いたしました。

、、、父上の仕事を早くにでも行えるように。」

「なるほど、、、、わかった。いいよ。一応声はかけておいたんだ。明日にでも始められるよ。」

(さすがアルカナイン公爵家現当主カナンだ)

「ありがとうございます。父上。それと、、、」

「どうしたんだい?」

「西の動きに注意したほうがいいかもしれません。」

「西のエルゼア帝国かい?どうして?」

「裏取りはまだですが、何やらきな臭いかもしれません。」

(こういったことは今までのジークはやっていないかもしれないがままよ)

アフターストーリーを思い返せば

エルゼア帝国の裏社会の派閥が今の時期に来ている可能性がある。

「急にどうしたんだいジーク、初めてじゃないか、そんなことを言うなんて。」

(やっぱりぃぃぃぃ、どうしよう言っちゃうか、言っちゃおう!!)

「実は、エルゼア帝国の裏社会の派閥がこちらに来るかもしれません。拡大の為だと思われます。」

そう言った途端父上の雰囲気が変わった

「なぜ、知っている。その派閥は現国王、宰相と私しか知らないはずだ。」

「そ、それは」

「ん?さぁ、早く情報の出所を教えなさい。」

だんだんと殺気が強くなっているのが分かった

(こええよぉ、なんでこんな人が処刑されたんだ。無理だろ。ゲームだからか?!だけど、、)

「それは言えません。まだ」

「ほぉ、いい顔になったね、ジーク」

カナンの殺気がなくなり

にこにことジークを見つめる

「ただ、名前までは知らないようだね。ここまで調べただけでも称賛に値するよ。ジーク」


(ん?なんか知っているぞ。なんだっけな、確か名前は)


「ーディアブロ」


「なに?!ジーク!!今何と言ったんだ!!その名は私しか知らないはずだ!!」


(やっべぇ!つい出ちゃったよ)

「い、いえこれは。」


「ジーク、僕はうれしいよ。いつの間にこんなに大きくなって!!素晴らしい!!」

(ちょっと親ばかでよかったぁぁぁ)


「ありがとうございます。父上。ひとまず、西には注意をお願いいたします。」

「わかったよ、まだ大丈夫かと思っていたけどジークが言うなら何かあるんだろうね。

情報収集と監視を増やそう。」

「それでよろしいかと。ありがとうございます。父上。」


「子供のことを信じるのは親の役目だよ」

優しく慈愛に満ちた笑顔で僕のほうを見る


それと同時にどす黒い感情が僕の中で芽生え始める

(なぜ、父上が悪役貴族と呼ばれなければならないのか。

母上もだ、慈愛に満ち優しい両親を処刑など絶対に許さない)



「ジーク、これから鍛錬と並行して僕の仕事を手伝ってくれないか?」

真面目な顔でカナンは問いかけてきた

「もちろんです父上。」

(守りたいものを守るため僕は悪役にでもなんでもなってやる。)


僕は決意を胸に書斎を出た。


書斎から退出すると疲れがどっと来た

心臓はうるさく強張った肩をほぐす


「ジーク様いかがでしたか?」

待機していたルイスが尋ねてくる


「ひとまずは安心といったところか。」




※1話ごとに文字数が違います。

キリのいいところで終わらせたいので許してください。

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