稲姫 ほのか、天下を目指す!?

越知鷹 京

ささくれ 一つで 異世界へ!

稲姫いなひめ ほのか。16歳。おとめ座。



わたしは、普通の高校生だと思いたい。

しかし、他の人には話せないがあった。


それは、指にささくれができると

「異世界」に飛ばされてしまうというものだ。



…は? なにそれ? バカなの?

そんなことあるわけないじゃん?



確かに、在りえないとことだ。


しかし、困った事に、なぜか、そうなってしまうのだ。



――あれは、1年くらい前だろうか。



海で溺れている海上自衛隊員を発見した妾は、速やかに(テトラポッドの間に捨てられている)空のペットボトルを何本か服の中に入れて、救助に向かった。


救助自体は難しいわけではなかったが、如何せん。

海水により 指にが出来てしまった。


お陰で、まる2日ほど 異世界 に飛ばされてしまった。


◇――


そこでは「自称・神様を名乗る」ちょっと痛いと出会い、ショートコントに巻き込まれてしまった。お気軽に神とタメ口をききチートを要求するも、なぜか却下されてしまうのだ。


どうやら レベル上限にまで カンストしており、好きに生きてくださいと言われたので、やりたい放題してやったら、泣きながら 元の世界に還してもらった。


――◇


それから、半年後くらいだろうか。



警察官が 強盗に 拳銃を奪われている ところに

遭遇したので、わたしが 奪い返してやった。


すると、帯電していた強盗に触れたせいで、

またもや、指にが出来てしまった。


◇――


すると、目の前に悪役らしき令嬢が現れたので、

思わず 壁ドン をしてしまった。


そこからだ。 わたしはとても大変だった。


カースト制度が崩壊してしまい、

貴族,平民,奴隷などの中から次の王様を決めることになった。

なのに、わたしなんかが 王選 を勝ち抜いてしまった。


申し訳ないので「王選をやり直して欲しい」と申し出た。


なのに、何度やっても選ばれるのだ。

終いには「ざまあ」と言って逃げ出してきた。


――◇


そして、つい最近のことだ。


遭難者を捜索しに来た救助隊が、二次被害に遭っていたのを 柴犬と散歩中だったわたしが見つけてしまい、助け出したときのことだ。


受験勉強で、寝不足の肌はあれていた。


そこへ、お礼の手を差し出した救助隊員と指が触れたとき、

ささくれが立ってしまった。


◇――


気がつけば、ペットの犬は ドラゴン へと変貌してしまい(いわゆる「上位個体」と呼ばれるモンスター)、迂闊にも還れない状況になってしまったのだ。しかたなく、魔女が持ってきた毒リンゴを食べて、をしている。


果たして、

こんなわたしに王子さまは現れてくれるのだろうか――?


◇ 了

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