一日後




 ホワイトデー前日。


「ぐやじいよ~~~」


 中学校の昼休み。

 中学二年生のただしは給食を食べ終えて今、教室の自分の机に突っ伏して、おいおいと泣いていた。


「また姉貴にまずいって言われたのか?」


 正の前に座る同級生の祐基ゆうきは、紙パックの飲むヨーグルトを飲みながら尋ねた。


「言われた。言われたんだよ~。あの反抗期姉貴にっ!二十四時間三百六十五日いつだって心がささくれ立っている姉貴にっ!言われたんだよ~~~」

「高校一年生だっけ?おまえの姉貴」

「そう。高校一年生。青春真っ盛り。反抗期真っ盛り」

「反抗期ならまずいって言われても気にする必要ないだろうに」

「反抗期だろうが何だろうが、まずいって言われたら気にするに決まってんだろうがっ!」


 正は勢いよく顔を上げてのち、しおしおと机へと下ろした。


「昔はあんなに美味い美味いって喜んでくれたのに」

「月日は人を変えるもんだな」

「………また美味いって言ってくれる姉貴に戻ってくれるだろうか?」

「弱腰だな。美味いって言わせるんだろ?」

「言ばせる!」

「なら頑張れ」

「祐基」

「ちなみに俺は、もう少しチョコチップが多い方がいい」

「はいよっ!任せとけ!」











(2024.3.13)



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