過去と未来のささくれ

三愛紫月

僕の事

多分、才能がないんだと思う。

いや、勉強してこなかったせいだろうか?

誰かに与えられたテーマを書くだけなら出来る?

いや、それも出来ない。

僕は、誰にも選ばれはしない。

あんなに必死で書いたのに、あれもこれもそれも全部意味がなかったんだ。

それでも、消すのは嫌だから。

このまま沼に捨てとくか。

もう、書くのをやめてしまおうかな。

書いて選ばれなかった時の悲しさと悔しさは半端ない。

君に振られたあの日みたいに悲しくなる。

消えたくなる。

誰にも選ばれないと思って泣きたくなる。

なのに、まだ追いかけたくなって。

諦めたくなくなって。


僕のテーマは、ここには合わないのかもなって最近よく考える。

頭を使わない文章の方がいいって事も聞いたりした。

あの文章意味ないのか……。

あのテーマよくないのか……。

考えても、考えてもわからない。

僕が身を削って書く物なんて誰も読みたくないに決まってる。

わかってる。


もっとスラスラ読めるのがいいに決まってる。

だけど、あの日。

僕は、僕を救ってあげたかった。

その為に、書いた。

書き続けた。


読まれないシステムだったら、一喜一憂しなかったのかも。

もう、やめてもいいかな。

向いてないなら、別の人生を歩きだそうかな。


それでも、あがいてあがいて生きるべきなのかな。

まあ、あと一年はあるか。

とりあえず三年はやろうと決めてる。


最後にたどり着く場所は、ずっと想像出来ているのに……。

そこにたどり着くプロセスに1つも乗れない電車にずっと乗ってる気分だ。

やっぱり、僕には向いてないんだ。

だって、僕は選ばれないんだから。


他の人は、どんどん選ばれていってるのに……。

僕は、一度も選ばれない。

結局、僕はここでやってても無意味なのがわかる。


君を追いかけていたあの頃みたいに……。

僕の友達も、最近君に選ばれた。

だけど、僕は一度も君に選ばれなかった。

選んでもらえなかった。

あんなにたくさん話したのに……。

あんなにたくさん傍にいたのに……。


心に残っていた小さなささくれと今出来たささくれが重なる。

結局、僕は選ばれないのを知るだけ。

その為に、書き続ける意味はあるの?

その為に、君を好きだった意味はあった?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

過去と未来のささくれ 三愛紫月 @shizuki-r

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ