第59話 悪役令嬢と襲撃イベント その三
「うん、ローズ」
私達の前に現れたのは赤く燃える炎の鱗に黒い角を生やした三体の竜。名をフレアドラゴンといい、確か中盤あたりのボスを担ってた程度には強い。……え、これを私達二人だけで?
「まぁやるだけやって見るしかない……か!」
「っていうか、なんで他のみんなは気付かないんだろうね!こんなデカいのが三体もいたら絶対目立つはずなんだけど!」
「多分メサークの術だよ。あの魔笛に、幻を見せる効果があったんだと思う」
「えぇ!?じゃあほんとに私達ふたりで三体まとめてやんなきゃいけないってこと?」
「多分そういうこと。よし、それじゃいくよ!」
フレアドラゴンは炎の竜だから、水魔法で攻めまくる。水槍に、水の剣。それから水玉。
多少焼き払われるものもあるけれど、当たったら大きなダメージにはなっている。
「ちょーっとまずいかも!全身が燃えてるから、あんまり近づけない!」
「剣魔法は?あれなら普通にいけたりしない?」
「どうだろ、多分焼かれ……っ!ローズ!危ない!」
「なっ、しまった!」
隙を晒してしまい、炎のブレスが私目掛けて放たれる。……もしかしてこれ、かなりやばい?私死ぬ?しかも、こんなタイミングに限って体が動かせないし。
そして私は死を覚悟して、目を瞑る。
「っ、ローズ!!!」
リリーがそう叫ぶ。リリーの叫び声が聞こえて、ゆっくりと目を開けると私は特に無傷のまま誰かに抱かれていた。
「はぁ……間一髪、だな。流石の先輩と言えどあれをもろに喰らえば致命傷は確実だったろ。感謝してくれよ?このヒーロー様にな」
「あ、ありがとう……レイス。助かったよっ……てか早く降ろして!またすぐ攻撃来るから!」
「ったく、助けてやったのにその態度は気に食わねぇな……ま、今はいいか。センパイ達、オレも加勢するぜ」
私の目にふと赤い星のピアスが映る。それで確信した。私を助けてくれたのはレイスだ。時間を止められてたからさっきは体が動かせなかったのか。
「ありがとうレイス!基本的には私とローズで攻めるから、危なくなったら時を止めて援護して!」
「いや、まだオレにもできることならある!センパイ、ちょっとこっち来い!」
「何か策があるんだね?」
「あぁ、一個な」
レイスの指示に従い、私とリリーはレイスの元に駆け寄る。にしても……策?どんな策なんだろう
「それでレイス、策って?」
「……五秒だ。オレが五秒時間を止める。そして実は、オレが直接手で触れたら停止空間でも動ける仕組みになってる。からその五秒でお前らが畳み掛けろ。いいな?」
「五秒ね。おっけー、わかった」
「任せてよ。やるよ、リリー」
そしてレイスは時間を止める。……ほんとに動けるんだ。さて、あとはありったけ水魔法を叩き込むだけだ。
「水よ!剣となりて切り滅ぼせ!」
「時間が止まってるおかげで容赦なく私も攻めれる!……はぁっ!」
「三……二……一……離れろ!」
「グォァァァァァァァァァ!!!」
よし、レイスのおかげでひとまず二体は撃破!一体だけならばだいぶ楽に倒せる!ふぅ、本当に危なかった……
「ヴルァァァァァァァァァ!!!!」
「お、怒ってる!?まずい、さっきよりも全然強くなってる!」
「強くなったとはいえこっちは一対三……大丈夫、勝てるよ」
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