第53話 悪役令嬢達の初詣 その二
「皆さん、あけましておめでとうございます。今年も是非、よろしくお願いしますね」
「うん!ジーク、あけおめことよろ~!」
「お、やっぱりお前らも来てたのか。今年もよろしくな!」
「ローズ達、あけましておめでとうございます。今年も、兄様共々よろしくお願いします」
ジークと話してると、後ろからラーベルとリアンが歩いてきた。
「あ、リアンにラーベル!うん、今年もよろしくね!」
「そういえば今日は三人で来てるの?珍しいね」
「おう。たまには俺ら三人でなんかすんのも悪くないだろってな」
「確かに言われてみれば……私達で遊ぶことは今まで何度かありましたが、三人で遊んだりしているのはあまり見てないし聞きませんでしたわね」
遊ぶ時は基本私、マイ、イリア、リリーの四人か七人だった。それ以外の事は見てもないし聞いてもないから多少驚きなんだけど……ゲームの世界観で言ったらかなり凄いことだからね。平民と王位継承者が遊んでるんだもん
「そういえば四人はもうおみくじは引かれましたか?」
「うん、引いたよ!」
「そうですか……皆様と回りたいと思ってたのですが、僕達はまだおみくじを引けてなくて……」
「んー、なら待つよ!人数多い方が楽しいし。ね、ローズ?」
「うん、そうだね!折角の初詣で7人揃ったんだから、一緒に回りたい!」
「本当ですか!?ありがとうございます!それじゃあ、すぐに並んできますね!皆様はここでお待ちください!」
リリーがそう言うとジークは嬉しそうにしておみくじの方に向かっていく。それにやれやれという感じで、ラーベルとリアンがついていく。それから少しして、三人は戻って来た。
「すいません、お待たせしました!」
「大丈夫だよ!全然待ってないから!」
「よし、それじゃあ早く開けようぜ!な、な!」
「……あれ、リアン?」
「失礼……兄様は昔からかなりおみくじが好きでして。いつも開ける時にずっとこんな感じで子供みたいにはしゃぐんです」
そういえばそんな設定も見たような見なかったような……?にしても意外と可愛いところあるんだな、リアンって。
「よし、それじゃあ空けますよ!僕は……小吉でした!」
「私は……吉でしたね。まぁ今までの中ではかなり良い方でしょう」
「奇遇ですねラーベル様!私も吉でしたの!」
「お、中吉か……まぁ中々いいほうなんじゃねぇか?リリー、お前は何だった?」
「私もローズも大吉だよ!」
えっと?ジークが小吉、ラーベルが吉、リアンが中吉か。みんなとりあえず無難みたいな反応してる。ちなみにラーベルは今まで小吉と末吉と凶だった。
「うし、じゃあぱぱっと結びつけようか」
「はい、そうですね……よし、できました!」
「それじゃあ次は……参拝しに行こっか!」
「ええ!」
リアン達も無事におみくじを結びつけ終え、私達は参拝をしになんて言うんだろ……本堂?本宮?的なのに向かう。もちろんかなりの人が並んでいた。まぁはぐれてはいないんだけど。
「そういえばみんなは何お願いするか決めた?」
「私はもちろん決まっておりますわ!何せ三年前からずっとただひとつの事を願っておりましたから!」
「私……はまだ決まってないですね。ローズ様は決まってるんですか?」
「私はそうだなぁ……うん。決まってるっちゃ決まってるかな」
「そういや俺はそんな願い事とか考えてなかったな」
「僕はイリア様と同じように、ずっと前から願うことはひとつです」
「私も特に願い事とかは決まってませんね。まぁ強いて言うならあるにはあるんですが……」
私の願いはもうそのまんま?というかなんの面白みもない「また今年も、皆で幸せに過ごせますように」的な感じのやつ。実は私は毎年これを願っていた。みんながみんな超好きだし感情がある以上永遠の幸せを求めるのは当然の事だと思うしね。……と、それはさておきいよいよ私達の番になった。お賽銭を入れて、カランカランってして、手を合わせる。……ん?
「今年もずっとこんな幸せな日々が続きますように……」
「立派な魔法学者になれますように……」
……ふふっ。マイとジーク、声にまで出しちゃってる。ジークも弟みたいですごい可愛いなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます