第5話 魔族

敵が多いがなんとか突破できた。

城の前に立って、そのドアを押した。

ギィィ、と音がしてドアが開いたので入ってみる。

その先は魔城というか、広い場所が広がっている。

見た感じ、どこかの普通の城のように見えるが、ドアが一箇所だけ鍵がかかっている。

それ以外のドアは鍵なしでは一個しかない。

他はカベになっていて、コンクリートが塗られている。

その鍵のかかっていないドアを開けた途端、俺等は絶句した。

部屋が、赤黒いのだ。

「こ、これは……」

「ペンキではなさそうだね……気をつけていこう」

「そうだな」

その後気をつけて周りを確認しつつ歩く。

なんとか宝箱があったからそれを開けて鍵をとる。

その後速やかに部屋からでてドアを閉めた。

「恐ろしいね」

「そうだな……」

その後ドアの鍵の前に移動し、鍵を差し込み、回す。

開いたため、ドアを開けた。

それは長い階段だった。

長い、長い階段をひたすら登る。

敵も居たが、敵は気をつけて倒していった。

階段の先は部屋があった。

その部屋の椅子に座る、角の生えた男性がいた。

「お前が魔王か?」

「いかにも。勇者がこんな貧弱そうで笑いそうだ」

「そうと思うなよ?」

「フフ、そうだな」

立ち上がる魔王。

闇魔法で攻撃してきたため回避する。

こいつには物理は無理そうだと思い、光のレーザーで攻撃する。

「ッ! やるな」

風魔法もレンが撃っていたが、どうやら光のみは当たるようだ。

それ以外は無効、つまり物理も無理と。

魔王が闇魔法の弾幕を撃ち始めたが、それを何とか回避しつつ、光魔法の弾幕を撃つ。

「なぜ、人間はわからぬ。争うくせに! 醜いくせに!」

「争うのは仕方ないが、それでも、平和の心とかはある! 自然を愛する心もある!」

「ならば、容赦はせぬ!」

レンの側による俺。

「レン」

「わかっているよ」

二人の魔法を混ぜ合わせ、強い光のレーザーをぶっ放した。

「なっ……!?」

そのまま魔王へとその攻撃が向かう。

「ばかな、ばかなああああ!」

その叫びのあと、魔王に直撃する。

強い光のレーザーが消えたときには、魔王の姿はなかった。

そして、走る揺れ。

俺等は来た道を戻り、城から出た。

崩れていく城を遠目で、ただ眺めるだけだった。

「はぁ……やっと終わった」

「ムウニテルくん」

「何だ? レン」

「その、旅をしていて思ったんだ」

「どう思ったんだ?」

「君なら言える言葉だよ。転生して、女性じゃなかったら親友だったんだけど」

「え?」

俺が混乱した。

ぐい、と腕を捕まれ、思わず驚いた。

「う、うわ!」

「結婚してくれ」

「え、え? れ、レン?」

「ダメかい?」

「いや、ありがとう。俺もだよ。むしろ、その……高鳴りを覚えてたんだ。旅のときから」

「そうか」

不意に崩れ去った魔王城だったところを見る俺等。

「でもさ。……」

「そもそも、んだろう?」

「そう、思うよ。だって、ここに来てから実感した。を」

「そうだね。それに、気が付かなかったかい? 私と君の耳を見て」

そういえば、と思ってよくデータを見る。

確かに

エルフか、ダークエルフか、魔族か。

そのどれかだろう。

そして、こと。

恐らく、俺等は魔族だろう。

とはいえ、どうしようか。

ドラゴンとの別れは突然だろうけど、諦めてもらうかと思った。

「んじゃあ、どうすっかな」

「まずは住処を作らないといけないね。それに、敵だった彼らもじっと見つめているし……」

「そうだな……」

考えていると、勝手になのか、城だったところに魔族が群がっている。

何か話しているが、言葉を解釈すると、どうやら再建築すると言っている。

なんで分かるかは……魔族だからだな。

「新魔王様と新魔女様」

と、ある魔族の男性執事が声をかけてきた。

「どうした?」

「貴方達二人を、魔王と魔女に迎え入れたく存じます」

「どうする?」

レンは笑った。

「そうだね、そうしないと困るよね?」

「だな。俺も賛成だ」

俺はそれを伝えると、「了解しました。指示はどうされます?」と聞いてきた。

「俺等はあまり慣れてないけど、まずは住む場所を作ろう。そして、人間界からは縁を切る」

「かしこまりました」

「今人間界にいる魔物をすべてこっちに戻す」

「すでに実行中ですが、どうでしょう、結婚なさっては?」

「魔王とはするさ」

レンの顔が赤くなった。

恥ずかしいのだろうか、と考えた。

「魔王様、恥ずかしがってはいけません」

「わかっているんだけどね……その、魔女ムウニテルを守るよう務めるよ」

「そうですね。わたくしもです」

ドキドキするが、それでも魔王のレンなら大丈夫だと思った。

「俺が指示出せるから出しておくよ」

「ありがとう。ムウニテル」

そして、復興させていこうと告げておいた。


数時間で城は復興し、住処はできた。

あと、魔界にレース場とかができた。

なにげに人が住める環境も作ってある。

迷い込んできたら住まわせる為だ。

それでも、迷い込んできた人間は居たらだが、襲わないように言っておいた。

争いは争いを生み、また、悲しみを生むのだから。

戦争もそうだ。

悲しいことになるために、避けれるところは避けよう。

そうして決めたのだ。


それから。

俺等は結婚し、平和な日々を過ごしている。

執事のグーレン、という人物が的確にしてくれているおかげで助かっている。

「グーレン、ところでだけど」

「何でしょうか?」

「税金何気に5%で維持しているが大丈夫か?」

「大丈夫です。生活できるほどの幸せを作れているのですから」

「わかった」

それでも、俺達は生きているんだ。

として。


~ 終わり ~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る