第39話 決着
レッズとてSランク冒険者。
油断していたわけでは決してない。
それどころか、いつレオが目覚めても
いいように警戒していた。
それなのに、まったく太刀筋が見えなかった。
振りぬかれた刀身がレッズの胸を捉え、
レッズの胸から血が噴き出る。
たまらず、レッズは痛みにもがいて地に倒れた。
だが、すぐに剣を杖替わりに立ち上がって
戦闘態勢に入る。
「なぜだ……ごはっ……なぜ……
正気に戻った!
……か、完全に精神を破壊したはずだぞ」
レオにもそれはわからない。
だが、正気に戻ったときに握っていた
アルテミスの右手を見て、きっと
彼女がそうさせてくれたのだと
悟った。
「ありがとう。アルテミス」
レオはアルテミスの頭を撫でた。
それにアルテミスは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「離れてろ、アルテミス」
レオは双剣を握りなおした。
「くそ……くそ……
くそがああああああああ!
俺が……俺がお前なんかに!!」
レッズも血だらけの剣を強く握った。
もう完全に勝負はついている。
それはお互いに分かっていた。
だが、完全に自分の手で終わらせたかった。
こいつは俺が殺す。
レオは疾駆した。
対するレッズも剣を振り上げる。
レッズの刀身は光かがや
だが、すでにレオは斬った後だった。
盗賊のSランク技
【疾風斬】
風の如く、一直線に相手を斬る技。
血潮を飛ばすレッズはその場に倒れる。
「どうしてだ……どうして……
サモナーのお前が盗賊の技も覚えているんだ」
かちゃりと双剣を鞘に納めて
レオは背を向けながら口を開く。
「俺はサモナーじゃない。
盗賊だ。俺のこの目は相手の
技を細かく観察して、完全にコピーできる。
技の難易度にもよるが俺は
ほとんどの技や魔法を使える」
その言葉にレッズは唖然としていた。
「俺は餓狼を殺す。必ずな」
レオはレッズの方を振り返る。
もうレッズは声を出す力もなくなっていた。
レオは彼に歩み寄る。
こんなやつでも一番最初の仲間だ。
お互いにそれなりの苦難を乗り越えてきた。
その思い出が蘇る。
「昔のよしみだ」
レオはすでに事切れた
レッズの開いた目を手で覆った。
「これ以上、手を汚す前に……
お前を送ってやる」
そして、優しく彼の瞼を閉じさせたのだった。
それからアルテミスと手を繋ぎ、
フェアリンを肩に乗せてレッズたちの
アジトを後にした。
「他に敵が潜んでなければいいけど……」
フェアリンが不安げにそう呟く。
「安心しろ。もう敵はいない」
そう言うと、フェアリンは驚いた顔をした。
「どうした?」
そう尋ねるとフェアリンはくすぐったそうに
笑ってこう答えた。
「フフフ……なんだかレオ大人っぽくなった」
「……は?」
「ついさっきまでは
ずっと張り詰めた顔してたけど、
今はどことなく余裕がある。
何かあった?」
ほんと……フェアリンはよく気が付く。
「どうだろうな」
そう言って、俺たちはジャックたちと合流した。
「レオ!」
ジャックは俺を視認すると少し嬉しそうだった。
だが、結果が分からないので、
完全に喜びきれてない。
そんな彼らに俺は告げた。
「勝ったぞ」
その言葉に皆が喜び飛び上がる。
ロナとケイリーは嬉しさのあまり抱き合い、
ジャックは俺に駆け寄って
俺の右手を両手で握った。
「ありがとう……本当に……
ありがとう、レオ」
たく……中年のおじさんが。
だが、こんなに泣いてしまうくらい
彼も不安だったのだろう。
娘を奴隷狩りに奪われたとも聞いた。
今度は守れてよかった。
「そういえば、この方角にSランクの
盗賊が向かったと思うが……
お前がやったのか?」
「ああ、ロナとケイリーのおかげでな」
その言葉に誇らしげな表情を浮かべる二人。
「ほお……」
それにしても……
このジャックっていうエルフ……
「決めた」
「なんだ?」
「ジャック。お前、俺のギルドに入れ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます