5人の王子は好かれたい

御野影 未来

序章

 カチャ、カチャ

 静かな空間に馬の蹄の音だけが響き渡る。


 すると急に馬車が止まった。

 僕は転がらないように足を踏ん張った。前の席に座っている兄のディモルは平然として座っている。

 何事かと思い、僕は窓に顔をくっつけて様子を見てみたがよく見えない。

 すると急にドアが開いて、勢いよく転げ落ちた。

 「うわーっーー!」

 「いったー!何で急に開けるんさ。顔に傷できたらどうすんのさ?」

 

 「ふっ」

 「無視すんじゃないよ、「ふっ」てなんだ

「ふっ」って!」


 「騒がしいぞ、ディモル、フォセカ」

 この冷徹そうなのは2つ上の兄シオンだ。

 「おーっ!おーっ!またお前ら問題起こしたんか?性格が違いすぎて双子には思えないな」

 このどこからどう聞いても元気そうなのは三つ上の兄ヴィオラだ。

 

 「うぇーん、うぇーん」

 「よしよしー、大丈夫だからねー。あのうるさい人たちは僕が懲らしめてやるからねー」

 この周りを癒やしの空間に変えるような男は1番上の兄のリカムだ。


 「誰がうるさいだって?一番うるさいのはお前じゃないのか?ほら、泣き止んでいないじゃないか。ほら俺の番だ」

 

 「えぇー、ヴィオラに渡したらもっと泣きそう。ガサツそうだし」


 「何だとぉー!!」


 「べぇーっだ」

 リカムはヴィオラを煽り喧嘩が始まってしまった。シオンは大きなため息をついて頭を抱えている。


 「ちょ、ちょっと待って!リカムが抱いてるその女の子は一体誰の子?!」


 「「「「え?」」」」


 「え?」


 フォセカの一言で暫くの間、静寂に包まれた。

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5人の王子は好かれたい 御野影 未来 @koyo_ri

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