身近に潜む危険

星之瞳

第1話

「こんにちは、いい天気ね」

「こんにちは、もう集まってるのね。咲奈さなあなたもみんなと遊んでてね」

「はーい!お母さんは?」

「このベンチにいるわ」

「あ、咲奈ちゃんだ、こっちおいでよ。みんなで遊ぼう」

「うん」


ここは住宅地にある公園。かなりの広さがあるが、年齢で使うところが分けられていて私たちは児童広場で毎日のように子供連れで遊んでいた。

「咲奈ちゃんママ、体の調子はどう?」

「大丈夫、もう安定期に入ったからね。ここに来ればみんなが咲奈のこと見ていてくれるから助かるわ。追いかけるのは無理だし」

「あなたはおなかの赤ちゃんを守ることを考えていれればいいの。その代わりってお茶たくさん用意してくれるし」

そう、私は妊婦。ここに来ても子供の世話ができるわけではない。すまなそうにする私に、ママたちはお茶持ってきてくれればいいと言ってくれた。コップは各自持参。おかげで動けない私も気兼ねなく子供を遊ばせることが出来た。


「いたっ!!!」

「咲奈ちゃんママどうしたの?」

「痛たた、ベンチのささくれが刺さったみたい」

「ちょっと手見せて。う~ん、これ抜けばいいのかな?」ケンちゃんママがとげを抜いてくれた。

「ありがとう。あ~びっくりした。でもこれってちょっと危ないよね。子供に刺さったら」

「そうね、でもどうしたらいいかな、勝手には出来ないでしょ」

「市の窓口に相談してみるわ」

私はスマホを取り出すと電話を掛けた。

『はい、市民相談窓口です。どうゆうご用件でしょうか?』

「今、桜公園の児童広場にいるのですが、ベンチのささくれが手に刺さってしまって、もし子供に刺さったら危ないと思いまして」

『担当に転送しますね、少々お待ちください』保留音が流れてきた。暫くすると、

『お待たせしました、公園課の者です。桜公園でベンチのささくれが手に刺さったという事でしょうか』

「はい、その通りです」

『職員を向かわせてお話を聞きたいのですが、まだ公園にいらっしゃいますか?』

「はい、そうゆう事ならお待ちします」

『お名前を伺ってもよろしいでしょうか?』

「水元と申します」

『水元様ですね、職員に伝えますので、しばらくそこでお待ちください』

「解りました」そこで、電話は切れた。


30分ぐらい待っただろうか、車が止まり、作業着を着た人が公園に入ってきた。

私達の方に近寄ってきて

「市の職員の者です。水元様は?」

「私ですが」

「ささくれが刺さったことをお聞きしたいのですが」

私はベンチに座っていた時ささくれが刺さったことを説明した。

「このベンチですか?これは桜を切って作ってありますが、皮の所がめくれてささくれになっていますね。子供の目の高さにもなりかねないし、危ないですね」

職員はベンチに触りながら点検していた。

「通報ありがとうございます。さしあたりこのベンチは使用禁止にして、他のベンチも問題ないか調べることにします」

「ありがとうございます。これで安心できます」私はそうお礼を言うと別のベンチに移動した。


暫くすると子供たちを連れてママ友が帰ってきた。

今まであったことを話すと、

「え、そんなことあったの、手、大丈夫」

「大丈夫よ。ささくれが刺さっただけだから。でも子供達には危ないと思って」

「そうね、大人だから『痛かった』ですむけど、子供には危険よね」

「ありがとう。市の方で点検してくれれば安心よね。ここで遊ぶのみんな大好きだから」

私達はお茶を飲みながらみんなで頷いた。


その後、公園は点検が行われ、危険を思われるところは修理が行われた。


私達はその後もその公園を利用している。



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身近に潜む危険 星之瞳 @tan1kuchan

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