第5話 私だけ皆と違う裁縫セット

何年生の時だったのかは定かではありませんが、小学生の頃に家庭科の授業で使う裁縫セットの購入案内がありました。


学校から貰った案内の用紙には、裁縫箱の絵柄が異なる4種類の裁縫セットが載っており、その中から欲しい物を1つ選んで注文するという流れでした。


しかし母は案内を見て「ぃやー、何でこんなに高いの!?別にここに載ってるやつじゃなくても良いよ!もっと安いのを買おう!」と、案内に載っている物ではなく違う裁縫セットを買う事を勝手に大決定させていました。


“え、この中から買うんじゃないの?大丈夫なの??”と私はかなり不安でしたし、もちろん無難に案内に載っている物が欲しかったのですが、私の希望を聞き入れてもらう事はできませんでした。


皆とは違う裁縫セットを机の上に置くのも嫌でしたが、授業が始まってみて改めて“やっぱり学校の案内に載っていたやつじゃなきゃダメじゃん!”と実感しました。


先生が「はい、じゃあ裁縫箱の中から○○を取り出して下さい」と言った時、私は皆の裁縫セットとは入っている内容も違うため、先生が指示した物が入っておらず、取り出す事ができなかったのです。


ケチって安い物を買ってしまったために、入っている道具が充実していなかったのでしょう。


“そうだよね。皆同じ物を持ってないと、教える先生が大変だもんね…。”


私はやはり母の判断は大間違いだったのだと悟りました。


まぁ、母はそんな事も知らずに“良い感じに安いのが買えた♪”と思っているのかもしれませんが………。

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