ドミノ倒死、繰り返死

田中昂

第1話 人が怖い男性

 私は人間が怖い。おかしいと思う者もいるだろう。たが、怖いものは怖いのである。人は、人を殺める物を作る。人は、人を自殺させることができる。人は、人を殺めた人間を殺めても罪に問われない職を否定しない。人間は、殺人鬼になりえる。殺人鬼になりえる者といるのは恐ろしいことだ。
 私はある日どうしても怖くなって、人のいないところを求めた。そんな時、開拓されていない山をみつけた。私はそこで暮らすことにした。
 最初はとても不便であった。道など存在しないため道なき道を進むしかない。水もない、火もない、食料もない。だが、なれてしまえばとても生きやすい環境であった。
ここで死ぬまで暮らそう。
そう、考えていた。
 ある日のこと。水を飲んでいるマグカップをふとのぞいてみれば、そこには自らの姿がうつっていた。私の姿は、人間だった。
怖くて怖くてたまらない。あんなに恐怖していた人間は、私自身であったのだ!どうしても怖くなった私はナイフをとって胸を突き刺した。暖かい血が私の体を伝う。私は今日、ここで死ぬだろう。

おやすみなさい。

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