第5話
あの男の言葉を合図に私は目を覚ます
目の前には、知らない天井と涙を流す両親の姿だった
どうやら私は、あの鉄パイプの事故で奇跡的に生きていたのだ
医者にもどうして生きているのか、損傷部位が元通りに回復しているのか分からないと首を傾げていた
まぁ、なんにせよ生きれていることには感謝感激である
しかし、不思議な夢だった
まるで現実にいるような感覚だったし
それにあの男は、どこかで見たような…………
「恵!!!」
そこまで考えると、幼じみ霧島 蓮が扉を蹴破る勢いでこじ開けた
「もう大丈夫なのか?!痛いとこは!何か出来ることは!!!」
「心配しすぎだって
私は、このとおり元気なんだからね!……ってえ!!!どうしたの?」
「良かった!!!……ほんとに良かったよ〜!!」
急に来たと思えば
私を見て安心してわんわん泣き出してしまった
全く困った幼なじみである
そんなところも可愛いのだけどね
本人には、調子に乗るから言わないけれど
そんなことを思いながら私は今を見る―――
蓮がいて、
家族がいて、
そんな幸せな光景を見て、
《私は幸せです》と思い出せない誰かに思うのだ
END
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