理想の食卓
春渡夏歩(はるとなほ)
第1話 学校給食
給食、好きでしたか?
私は…苦手でした。
「給食、大好き!毎日楽しみだった!」と言える人をうらやましく思います。
ピカピカの新1年生になって、給食が始まりました。
あの頃は「好き嫌いなく何でも残さず食べましょう」という教育方針で、
担任の先生はとても厳しい方でした。
(今は、アレルギーのあるお子さんもいるので、そういう指導はないですね)
給食を時間内に食べ終わらないと、お昼休みに上級生が教室の掃除をしている間、中庭に出されて、居残りです。
残っているのは、だいたいいつも同じメンバー。
ささみ以外のお肉が食べられないA子ちゃん。
牛乳が飲めないBくん。
そして、私。
私は好き嫌いというより、小食で量が食べられなかったのです。
早生まれで身体も小さくて、家でも薄い食パン1枚食べるのがやっと、それなのに2枚も完食出来るわけがありません。
他のお友達が遊んでいる昼休みの間、毎日毎日、先生が許してくれるまで、うつむいて残った給食のトレイとにらめっこして、ただじっと時間が過ぎるのを待っていたことを思い出します。
居残り給食をしなくて良くなったのはいつのことだろう。
毎日、家に持って帰っていたカバンの中で変形した食パンは、そのあと誰が食べたのだろう。
世界には満足に食事をすることがかなわない人達もたくさんいて、食料の大切さを学ぶことはとても大切なこと。
でも…。楽しいお昼の時間を過ごしたかったなぁ…。
何も言えずに我慢するしかなかった小さい私に、大人になったら好きなものを好きなように食べられるようになるからねって、そっと頭をなでてあげたいです。
楽しい食事がしたいですね。
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