月を数えて
羽弦トリス
第1話ただれた日々
オレは、愛知検査株式会社の現場責任者の藤岡智宏。今年の夏に28になる。仕事は貨物船で運ばれるコンテナ内の害虫をチェックする会社だ。
外来種の昆虫や植物の種は日本に揚げられない。
夏は、太陽光で熱せられたコンテナをチェックするのだが、サウナに入っているほど汗が吹き出す。
その作業を2人掛かりでやっつける。
オレは主任と言う立場だが、今日の相方の川原純一という30の先輩と一緒だが、彼は平社員だった。
入社当時は怖い先輩と畏怖していたのだが、長く勤めていると人間の良さを感じる事が出来るが、仕事がいい加減なので、オレの方が先に主任になってしまった。
だが、川原はオレを「主任」と呼び、年功序列を無視した人事を受け入れている。
朝の8時半がら業務を開始して、10時になったら、ちょっと休憩。
オレは川原さんの分の缶コーヒーを買い、事務所で涼んだ。
川原さんは、糖尿病だからブラックしか飲まない。否、飲めない。
「主任、昼から中山ちゃんと広坂君が応援でくるらしいよ」
と、川原はタバコ吸いながらオレに言った。
中山めぐみは25で彼氏持ちの女の子で、広坂竜一はオレと同期の仲間だ。
休憩を終えて、オレと川原さんはコンテナチェックを始めると、川原さんが、マイマイガのサナギを見つけた。
殺虫処分をして、現場写真を撮り業務を続けた。
昼めしを食べると、2人の応援が入り随分楽に仕事を終わらせた。
会社には、シャワー室がある。
1人ずつだが、たっぷり汗をかいた人間にはシャワーはありがたい。
オレは、着替えセットをロッカーに準備している。
身体にボディーソープを塗りたくり、洗い始めた。
ちょうど、下半身を洗っていると勃起した。
ヌメヌメした感じが、フェラされている様で、硬くなった。
オレは、右手で下半身を擦り、床にボタボタと精を放った。
シャワーで綺麗に流し、精もちゃんと排水口に流れたのを確認して、シャワー室を出た。
交代で、川原がシャワーを浴びた。
オレが、精を放ったシャワー室だと知らずに。
ある日、小林課長から言われた。
「藤岡君、今日、夜勤出来るかな?」
何を言ってるんだ。オレは朝の6時半には出勤しているのに。
この会社の夜勤は、早朝から、翌昼まで続く。
小林千紗課長は現場の叩き上げで、女性の管理職だった。年齢は50.。
「何の夜勤ですか?ウチラの仕事は日勤ですが」
と、オレがチクリと言うと、
「藤岡君は、英会話出来るよね?今夜の2時に入港する船の書類を一等航海士と相談して作ってもらいたいの。だって、うちの課じゃ、藤岡君と広坂君しか英会話できないから」
小林は腕を組んで、慎重に言葉を選んでいる様だった。
「じゃ、課長。広坂君にお願いしてください」
「広坂君は今日から、神戸支店への出張なの。だから、お願い。明日はご馳走するから」
と、小林課長に懇願されてオレは夜勤を引き受けた。
翌朝の11時に仕事が終了した。
夕方まで、会社の仮眠室で寝た。
この会社は、夜勤があるため、シャワー室と、仮眠室があるのだ。
夕方起きて、歯磨きして、ヒゲを当たり、小林課長と飲みに行った。
小林は、これから先、夜勤専属にしたいらしいが、朝の6時半から働き、一旦15時には現場をアガリ、夜中まで仮眠を取る約束をしたのだが、現実は非情であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます