初めてのラブホテル 13
結局歌舞伎町の元いた道に戻って来ると結愛が「今の時間ならタピオカのお店開いてる」と言って小さな雑居ビルの三階に目を向けた。
彼女に言われるまま二人並んで歩いて行く。けれど、どうやらもう廃業したらしく、結愛はなくなく視界に入った別のタピオカ店に向かった。
そこは韓国人のスタッフがいるピンク色のタピオカ店で、結愛は慣れたように隣にある券売機に真っ直ぐ向かって歩き、タピオカ一杯分の券を買った。
私も一杯分のタピオカミルクティーを買って、券を店員に渡す。店員はその券の半分を切って、半分を私に渡した。
奥に引っ込んだ店員の韓国語がちょくちょく聞こえる中、私は結愛と雑談して待っていた。
タピオカブームが過ぎても、タピオカは未だに根強い人気を誇っているんだなと、町を歩いて知った。けれど、結愛は本当にタピオカドリンクが好きなタピオカマニアのようで、先ほど廃業していたことに気づいた店についてや、この店のタピオカ、他に行くタピオカ店のドリンクの話などを話した。
同時に私と結愛がスタッフに呼ばれ、半券と引き換えにタピオカドリンクを受け取った。
すると、彼女はそれを飲みながら、また私の腕に両腕を絡めてきた。歩きづらいのもお構いなしといった様子でタピオカを飲み始めるので、私は空いているほうの手でタピオカドリンクを持った。
結愛に「帰る?」と聞くと長い散歩の後のせいか、それともやれることは少ないということを考慮してか、惜しみもせずに「そうだね」と言った。
私は彼女の駅を聞いて、二人で奇妙に縺れながらその駅に向かって歩いた。
傍から見れば恋人同士に見えるのではないかと冗談を言うと、結愛は笑って「いいんじゃない?」と言った。
「ラブホテルにも行ったし。ね?」
「それは勘弁」と思わず笑った。
「え~? なんで? 可愛かったよ?」
そう笑顔で言って、またタピオカを飲む彼女に、私は満更でもないという間抜けた顔をしているなと分かった。
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