【KAC20244】パパ上様日記 ~我が家の愛しき猛将様~
ともはっと
語るも涙。語らぬも涙。思い出すは左手の痛み
「あ、いったぁっ!」
ある日のこと。
我が家だけでなく、我が一族にて身長170cmを超えるという偉業を達成した我が息子ことセバスが、いきなり悲痛な声をあげた。
「どうした?」
「やっちまった」
「ぉう、どこの錬金術師だ」
「その錬金術師はささくれ程度で叫ばない気がする」
そうだな。足を押さえて這いつくばるくらいはするもんなあいつ。
その上、しっかりと自分の一部を犠牲にして戻すくらいの気概はあるしな、あいつ。
「ささくれか……。そういえば、あんなことがあったな」
「え、なに急に」
「あれは忘れもしない、私が高校生だった頃の話だ」
「……おい、このパパ上、人の話聞いてないぞー」
私は、あの時を思い出してずきずきと痛み出した左手の甲を撫でながら、今はない、そこに傷が出来た経緯を思い出していく。
そう、あれは……――いや、待て。もう傷もないからうっすらとしか覚えていないんじゃないか? 本当に左手だったか? 右手じゃなかったか? どっちでもいいけど、まあそれでも血が出てた記憶は……ある、あるな。うん、ある。痛かった記憶がある。よし大丈夫、まだ思い出せる。
よし。
さあ、話そうではないか。
あれは、遥か昔――
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