異世界ナインロイヤル
八山スイモン
第1話 ナインロイヤル、開幕①
世界はいくつも存在する。
それらは切れぬ縁で結ばれた
生物が存在し得ない無機質な世界もあれば、人類が発達し機械化した人類が闊歩する世界、海に覆われ魚人が生きる世界、翼を持つ人間が大空を飛び交う世界もある。
その中でも特に『魔力』という不思議な力に満ちた世界が存在する。物理法則と進化論に基づいて進化した生物が住まうのではなく、魔力というエネルギーによって特異な進化を遂げた魔物が住まい、人間がそれらの生物と争う世界である。
人間たちは魔物に対抗するために『魔術』を生み出し、我らがよく知る世界の科学力にも勝るほどに力をつけた。
だが、敗れた。
300年前、人類と魔物の間で起きた巨大な戦争。
人類の約半数が失われた壮絶な戦争の末に人類は敗北し、生存権を大きく縮めることとなる。残された人間たち、特に魔術を修めた賢者『魔術師』たちはいかにして人類を生存させるかを考えた。
その答えは、異世界への
魔術によって可能となった異世界の観測によって発見された、魔力なき世界。
人類が星の大半を支配下に収め、天敵なく楽園を築いた豊かな世界。
発見順に従い、その世界は『第七世界』と呼ばれた。
魔力の存在しない世界であれば、敵となる魔物は存在しない。
その世界への移住こそが、人類救済の道である。
だが、人間が世界を超えるためには、並の魔術では不可能だ。
賢者たる魔術師たちはあらゆる犠牲を厭わずに世界を超えた移住の方法を探り_____その果てに、一つの儀式を生み出す。
それこそ、ナインロイヤルである。
九人の魔術師が集い命を賭けて戦い、勝ちぬけた勝者だけが第七世界への転生権を勝ち取る。尊き魂を賭けた闘争を贄として、世界を超えた転生が可能となる。
そして、捧げるべきは、九人の魔術師だけではない。
この世界の者たちが憧れる存在。すなわち第七世界の人間との縁があって初めて、儀式は成立する。
すなわち、召喚術の発動。
異なる世界の生物を呼び出す禁術の発動をもって第七世界の人間を召喚し、九人の魔術師の武器とするのだ。ただ召喚するのではなく、その人物の経歴・精神性・人格に基づいた異能『
役者は揃った。
転生を望みし九人の魔術師、《シーカー》。
シーカーに召喚されし第七世界の人間、《アバター》。
彼らは互いに命を望みを掛け合う
どのような闘争が繰り広げられるのか。
正々堂々と力をぶつけ合い、燃え上がる炎のような闘争を繰り広げるも良し。
騙し、堕とし、操り、心の限り敵の敗北を作り上げるも良し。
時に手を組み、時に裏切り、そして時に全てを破壊することもあるだろう。
誰が勝ち、誰が望みを叶え、誰が生き、誰が死ぬのか。
ナインロイヤルが、間も無く幕を上げる。
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