第二問 また始まるコンマ



俺は昨日、偶然図書室で会ってしまった。

これは運命というやつなのだろうか。



ー朝のHRー

俺はクラスメイトの話を盗み聞きしてみた。

「なぁなぁ。隣のB組に転校生来たらしいぜ!」

「えぇ?まじ?」

「男かな!女かな!」

「おいお前。発想キモいぞ!」


転校生?

昨日のあの子...えっと...美珠みすずさん...うちとは違う制服着てた...

にしても1年生で転校か...訳アリってやつだな...



「ん?なんだ梁野はりの。転校生のこと知ってるか?」

いきなり陽キャたちは俺に聞いてきた。

「いや。なんも。どうなやつなんだろうな。」




ー体育―

「試合やるぞー。よーいスタート!」


体育の時間は憂鬱ゆううつだ。バスケなんか...身長も高くもなければ低くもない平凡の俺がやるもんじゃねぇだろ。

ボールの音が体育館に響き渡る。



「ゴンッ!」


硬いものが俺の顔面に直撃する。

「痛った。」


「ごめん。梁野。」

「やば。鼻血出てるぞ。保健室行って来いよ。」

「全然大丈夫。先生。保健室行ってきます。」

「おう。気をつけろよ。」




ー保健室ー

「1年A組の梁野悠木はりのゆうきです。」

保健室に入る。聞きなれた音がする。

「パチパチパチ」


はっ!もしかして!

と思ったが...



別のやつだった。

「あ!やっほー。」

「えぇっと...どちら様?」

黒髪ショート、少し青っぽい瞳。

「あ。初めましてか。私の名前は1年の川崎五十鈴かわさきいすず。」

初めて聞く名前だ。

「えっと...君は...ハリボーユッケ?」

「梁野悠木!!!」



ー衝撃の事実ー

その五十鈴って子の話を聞くと衝撃のことが発覚した。

「てか君。部活は何入ってるの?」

「帰宅部です。五十鈴さんは?」

「今年新しくできた珠算部ってのに入って...」

「珠算部?」

俺は真剣に聞いた。

「う...うん。珠算部。」

「あるんですか?」

「それがあるんだよ!」


俺は頭を下げた。

「入部させてください。」

「じゃあ。わかった。ちょうど今日部活の日だし放課後で2年C組に来て。」





ー放課後ー

帰りのチャイムがなる。

「2年C組は...ここか。」

ドアを開ける。

そこには昨日会った木野美珠きのみすずさん、川崎五十鈴かわさきいすずさん。その他諸々の部員がいた。

そして部長らしき人物が僕に歩み寄る。

「君が梁野悠木君?五十鈴ちゃんから話は聞いてるよ。」

「あ...はい。1年A組の梁野です。」

「私の名前は2年A組の橋本彩羽はしもといろは。珠算部の部長。よろしくね。」

「は...はい。よろしくお願いします。」

「まずは...実力チェックからかな。フラッシュ暗算ってできる?」

「あ...はい。できるっちゃできます。」

「ちなみになんだけど...フラ暗何級?」

「珠算は九段で暗算は五段だった気がします。」

「九...!?五...!?」

「彩羽先輩早く始めましょうよ。」

「そうだね。じゃあ四段でやってみて。」



目の前には数字が高速で出ては消えて出ては消えてを繰り返してく。


(この一年生...なんて指さばきなの...目が追い付かない!)



「こ...答え分かった?」

「4713512です。」

もちろん正解。

「副部長決まってなかったし、君が副部長でいいよ。もう。うん。」

「え...えぇ...」




ー帰宅ー

「ただいまー。」

「おかえり。」

「え?」

明らかにお母さんじゃない高い声が二回から聞こえる。

「うちには兄貴しかいないはずだけど...てか兄貴も今一人暮らしだし...」



恐る恐る自分の部屋のドアを開ける。

「あ...あの...今日...悠木さんの家に...泊めてほしいなー...なんて...」

「なんでこうなっちまったんだよーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」



つづく

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