ささくれ

三椏香津

ささくれ

 りかのお家には、お父さんとマお母さんはいない。いるのはりかと、優しいおばあちゃんだけだけ。


 りかはすぐ色々気になる。一時になってしまうと、それが解消されるまで他のことに集中ができなくなるくらい。だから気になったらすぐ、りかはおばあちゃんに聞いた。

「おばあちゃん、なんで空に飛行機雲ができるの?りか気になる!」

「それはね、お空にはすごく小さな水の粒があってねー…。」

私がたくさんなんでって聞いたことに、おばあちゃんは丁寧に答えてくれた。そのたんびにりかはおばあちゃんに「ありがとうっ!」って伝えると、

「どういたしましてぇ。りかちゃん、可愛いねぇ。また質問してね。」

って、決まって言った。


 そんなおばあちゃんとりかは一つだけお約束していることがある。左手の親指にある”ささくれ”は、絶対に引っ張ったり、めくったりしないこと。

「ねぇおばあちゃん、りかの指にささくれがあるよ。とっちゃダメ?」

「だぁめ。取ったら血が出て、痛いよ。リカちゃんが痛いってなってたら、おばあちゃん悲しくなっちゃうわぁ。」

「…わかった。」


 でも、りかはこのささくれが気になって仕方がない。もうずっと前から出来てるのに、なんで治らないんだろう?少し痛くても、ちぎっちゃった方が早く治るんじゃないかな?

 …~っ!ガマンができない!!


ぴり

「わ。」

ぴりぴり

「わわっ。」

ぴりぴりぴり

「わわわっ!」


「…ーちゃん。おばあちゃぁ~ん…。」

「はぁい、りかちゃんどうしたの?…ってあらま。」

 私は声のする方へ向かった。するとそこには空気が抜けたことで立てず、床にくにゃりと倒れたリカちゃんの姿があった。

「おばあちゃん…うまく動けないの…。りか、病気?なんで?」

「あらあら、りかちゃんびっくりしたねぇ。ちょっと待っててねぇ。」


ぷるるるるる…。

「お電話ありがとうございます。『リアルリカちゃん人形』、管理センター窓口です。」

「あの、修理をお願いしたいのですがー…。」



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ささくれ 三椏香津 @k_mitsumata

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