ささくれ勇者とささくれ魔王
ネオミャウ太
第1話
雨の中、魔王と勇者が互いに睨み合っていた。
「今日こそ決着をつけようぜ魔王」
「そうだな、そろそろ決着をつけなければな」
とお互いそう話すと勇者は剣を構え、一歩踏み出す。
魔王は勇者の行動を見て呪文を唱えようと手を勇者に向ける。
だが何故か2人は動かない。
(今日、指にささくれ出来てさ剣掴むとそこまで痛く無いけど、感覚が気持ち悪いんだよなぁ、そんな事考えてたらもっと気持ち悪くなってきた、駄目だ駄目だ魔王を倒すのに集中集中、ああ、無理だ考え無いようにすると気になってくる、家に帰りたい)
(うわ、指にささくれ出来てんじゃん、もしここで勝って、いつもポーズ決めてる時に部下にささくれ出来てますよって言われたらなんか示しつかないよね、家に帰ってささくれ直したいな)
なんと2人はささくれが出来ていたのだ。
だが、今は決戦の時2人は互いに弱い所を見せられない。
「勇者よ、何故動かない、怖気ついたのか、こちらから動いても良いのだぞ」
「それはありがたい、魔王の全力を叩き斬ってから討伐するのが勇者だからな」
「ほう、余裕だなそこまで言うのであれば、真の力を見せてやろうではないか」
「ああ望む所だ、真の力を打ち破る究極の力を見せてやる」
と2人はそう意気込んだ後、何故か固まる。
(やばいぞ、魔法を放つ事に全神経を集中してたら、足にもささくれが出来てんのに気づいちゃったじゃん、全神経を集中したら足のささくれが気になる、ああ早く帰りたい)
(あ、今足にささくれ出来た感じがする、どうしよう気持ち悪くて、踏み込めない、無理、どうしよう、無理、気持ち悪くて、無理)
なんと足にもささくれが出来ていたのだ。
ささくれが足と指にあった勇者と魔王は耐えきれず
「今日はやめよう」「今日は決戦の時では無いな」
と同時にしゃべり
「そうだな魔王の言う通り、決戦の時じゃ無いな。だって今日は雨だしな、それで決着がついたとしても遺恨が残るしね」
「勇者よ、良い事言うでは無いか、そうだな、今日はやめておくか」
と焦りながら言うと、2人は互いに背を向け、帰って行くのであった。
ささくれ勇者とささくれ魔王 ネオミャウ太 @neomyuta
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