大の大人がささくれに七転八倒させられた話~ハンドクリームを添えて~

藤原くう

ささくれって大したことないと思っていませんか

 あなたはささくれで七転八倒大騒ぎしたことがありますか。


 私はあります。比喩表現なしに転げまわりました。


 そういうと、ささくれでそんなまさか、またまたオーバーに語っちゃってという向きもあるでしょう。


 なのでとっとと本題に入ります。


 それに気が付いたのは、タイピングしているときです。


 読点を押そうとしたら、なんだか痛む。キーを叩くのをやめてまじまじ中指を見ましたところ、ペロンと向けた皮。


 そうですヤツです、ささくれです。この、乾燥が原因とされる些細な症状がまさかあんなことになるとは、この時の私はつゆほども考えてはいません。

 

 だって、ずぼらにもはがれた部分を引っ張ろうとしたほどです。皮膚との綱引きの勝敗はすぐに決しました。ブチッと皮膚ははがれ、そのワイルドな所業に、中指は血の涙を流しました。それでこの物語はおしまいおしまい――だったらどれほどよかったことか!


 その時は寒暖差の激しいころ。外は花粉の嵐。まさに泣きっ面に蜂。外にほとんど出なくなった私は、体調を崩しがちでした。


 そのせいでしょうか。指の痛みは激しくなり、タイピングはおろか、夜も眠れないほどになりました。


 そして、阿呆なことに私は、体が発する警告の一切を無視しました。愛すべき中指が頬を膨らませているというにもかかわらず、私はタイピングを続けました。


 ある日のことです。


 私の中指はあり得ないほどに膨らんでいました。あまりに痛くて顔を洗うどころか手を動かすだけで痛むほど。


 病院に行ったところ、指が化膿していたそうです。抗生物質と痛み止めをちょうだいすることとなりました。


 もし放置していたらどうなったんでしょう。


「壊死していたかもしれないねえ」


 医者は、バカみたいに朗らかにおっしゃられました。本当かどうかはさておき、釘を打つにはもってこいの言葉でした。


 正直ビビりました。ええ、ビビりましたよ。だって、風が吹くだけでビリビリ痛み、水は食塩が入ってないのにしみる。体はなんだかだるい、熱っぽい……。ビビりながら薬を飲み、塗り薬を山のように塗りたくりました。


 その甲斐あって今は腫れも引き、中指は今日も元気にタイピングに励んでいます。


 みなさん、たかがささくれだからって、甘く見ないでください。少なくとも、乱暴に取り除かないようにしてください、ハサミとか爪切りとかで切るのがおすすめです。


 もっといえば、ささくれは乾燥が原因なので、ハンドクリームで保湿をする、栄養バランスのよい食事・質の良い睡眠をとることが、効果的だそうです。

 全部全部、今の私に足りないものじゃねーか!

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大の大人がささくれに七転八倒させられた話~ハンドクリームを添えて~ 藤原くう @erevestakiba

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