心の声、現像してみた。

天千鳥ふう

第1話 料理人はセクハラと痴漢の罪で現行犯逮捕されることがあるかもしれない。

「な,なんなのっ,人様の服を勝手に剥がすんじゃないわよ!」


蒸し暑い部屋の中、わたしは金切り声で叫んでいた。


「しかも,カメラまであるじゃないの!セクハラよ,セクハラ!」


しかし,いくら叫んでもわたしの体を押さえつける悪の手は離れない。

その上,わたしのこの必死の訴えさえ聞こえていないらしい。


身をよじって叫べば叫ぶほど,悪の手はわたしの身を強く押さえてくる。



「早く話して!さもないと警察に通報s————」



また叫ぼうとしたら,わたしの身が何かヌラッとしたものに漬けられた。



「ナニコレ!?なんなの、冷たいし、なんかネロネロへばりついてきてキモい!」



やっぱり,わたしの声は誰にも聞こえないらしい。

わたしの反発する気力も萎えてきた。


と、



「え!?」



悪の手が、わたしの身になにかをすりつけるようにしはじめた。





「きゃーっ,チカンよ!」





「もうほんとになんなの!警察に通報するって言っt————イテッ,痛いっ」


今度は、何かチクチクしたものを被せられた。


さっきのぬらぬらしたのと,粉っぽい何かのおかげか少しはちくちく感が緩和されているような気もするが,痛いには違いない。


そして、


「アチっ、アツツツツ!?」


何かものすごく熱い液体に放り込まれる。


その後,しばらくわたしはあまりの熱さに気を失った。



                     ✴︎


少し時間が経っただろうか。


ふと涼しさを感じて,わたしはハッと目を覚ました。


辺りを見回そうとして,わたしは絶望する。



「はっ————。何かのせいで周りが何も見えないじゃないの・・・!」



わたしは泣かんばかりだった。



しかし,泣き真似をする暇さえなかった。



なぜなら次の瞬間,わたしのお腹は何かに締め付けられ、



少し上の部分に,何か鋭いものが突き立てられたのだから。





わたしはつぶやいた。





「あぁ、これでわたしの人生——いや、エビ生も終わりなんだわ…。こんな意味不明な終わり方をするなんて,なんて惨めなのかしら。ああせめて誰か警察を呼んで、この悪の手をセクハラとチカンの罪で現行犯逮捕して————」

































こうして,ある1人のエビは,エビフライとなって人間の血肉となったのだった。

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