ささくれいってぇ~(笑)
常闇の霊夜
このささくれ硬すぎじゃない……?
「……」
ささくれが……出来た。俺の足に。寝る前だってのに!
事の発端は昨日の事、俺は確か爪切りでパツパツ爪を切っていた。
その際恐らく切りそびれがあったのだろう、だが問題はそこではない。
「これ刺さってんなぁ……」
たぶん、これガッツリ肉に突き刺さってるっぽいんだよね。だってすっごい痛いもん。
しかし今さら起きて下の階の爪切りを使いに行く、と言うのは……ちょっと遠慮したい。
だって寒いし。もう俺は寝る準備してて、後は寝るだけって時に嫌なささくれを感じたんだもん。
「……しかしなぁ……」
いや、多分……刺さってないかもしれない。要はささくれって爪の切れなかった奴が悪さをしてるって事なのよ、って事は裏を返せば特に問題はないって事になる。
しかし……さっきから本当に爪を抉りに来ているとしか思えないんだよな、毛布が……。
いやさ、寒いのよ。この辺は夜になると。んで夜になるとさ、もうびっくりするくらいに寒いんだよね。
だから外に出たくないんだよ、布団の。
「しかしこの程度なら指で摘まめば……」
と言うか何とかならんか?コレ……。案外何とかなるんじゃ……あっ何だ硬いぞ!?
ちょ、ちょっと待ってバカ硬いんだけど何?!指で引っ張ってもびくともしないぞこのささくれ!
嘘だろ……!?ま、まさかこのささくれ、俺に突き刺さり続けるつもりなのか……!?
クソッ!だがしかしなめるなよ……!こうなったら強硬手段に出るしかない!何か鋏とか……。
「……いや、流石にアレは……」
いや、うん。無い事は無いんだけどさ……。なんで高枝切りばさみがあるの?逆になんであるんだそれは。と言うか無理だろ、指ごとちぎれ飛ぶわ。
「あ゛っ゛いっでぇッ!」
ひ、ひっかけた!完全に引っかかった!噓だろなんだ今の痛さ?!肉を千切られる感覚がしたぞ!?嘘だろ本気かこいつ?!
クソッ!コレは早急に何とかしないと寝れないタイプの奴だ!
「何か手は無いか……!?」
おっあんなところに鼻毛切ばさみがあるじゃん!俺のじゃないけど……。
しかし!四の五の言っていられる場合ではない!このささくれをたたっ切ってやる!
「あっおい負けてやがるコイツ」
えっまけ……。え?負けるってことあるの?い、一応君はハサミなんだよ?負けないでくれないかな!?
不味いよ本格的に爪切り以外じゃ太刀打ちできないよ……。
と言うか何指がささくれてんだ今?小指じゃないだろうし中でも人差し指でも無い……あっ親指だコレ。
じゃさっきから肉抉りと化してるのはシーツか!
「クソッもうどうなっても知らんぞーっ!」
俺は……一階へ行く!爪切りを使うッ!
「ア゛ッ゛床にッ!」
……千切れた……。ささくれが……。
ささくれいってぇ~(笑) 常闇の霊夜 @kakinatireiya
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