第11話 盗賊狩り①
もったいないことをした。頭に血が上っていたためにスキルを奪う前に殺してしまった……。やっぱり対象が死んでいるとスキルは奪えないのか……はぁ。
横でニヤニヤしながらニーナが歩いている。俺が二人を殺したことに、なんとも思わないのかと聞いてみると。
「向こうから殺そうとしてきたし、殺されても当然ね!」
だそうだ。この世界は命の価値が低いみたいだ。
「ニーナ、闘技を教えるよ」
ニーナと友達になったからには、俺の知っていることをいくつか教えることにした。
強奪スキルに関しては教えるわけにはいかないが、それ以外は問題ないだろう。
「えっ? やった♪」
「あと俺の能力を教える代わりに、教えて欲しいことがある。まず俺は相手を見ることで相手の能力がわかる」
「ユウって解析のスキル使えるんだ? LVはいくつ?」
「俺の能力は解析スキルじゃない、固有スキルで対象の能力がわかる。そこで俺の見えるステータスと、冒険者カードに表示されるステータスに、違いはないかを知りたい。あと冒険者カードについても教えてほしい」
「いいよ~」
ニーナが自分の冒険者カードを出す。
名前 :ニーナ・レバ
種族 :人間
ジョブ:シーフ
出身地:ビビット村
年齢 :16歳
性別 :女
ランク:F
LV :13
HP :79
MP :23
力 :22
敏捷 :55
体力 :23
知力 :17
魔力 :11
運 :22
パッシブスキル
索敵LV1
罠発見LV1
短剣術LV1
忍び足LV1
アクティブスキル
盗むLV1
潜伏LV1
罠解除LV1
隠密LV1
固有スキル
なし
俺が見えるステータスと違うのは『出身地』『年齢』『性別』『ランク』か。ニーナからの情報を纏めると。
1 冒険者ランクにはSSS・SS・S~Gまでの10段階。
2 身分証明書のために取得する人はほとんどがGランク。
3 冒険者カード作成時に魔法で個人の情報を入れることにより成長した際も冒険者カードに反映される。
4 冒険者カードの情報は任意で隠せる。(一部だけ非表示など)
「そういえば、さっきの奴らがまごん? がどうこう言ってたけど」
「それ! 私も気になってたんだよね。なんでユウは魔言も唱えずに剣技を発動できるの? 魔法も魔言を唱えてないしまさか『大賢者』の固有スキルが!?」
魔言? 呪文のことか?『大賢者』? そんなスキルがあるのか。
「確かに俺はその魔言とやらは発してないけど、ちゃんと頭の中でスキルは言ってるし魔力も込めてるぞ」
「へ? 頭の中で唱える!? そ……そんなことができるんだ」
「まぁその辺も教えるよ。まずは闘技を覚えて次は短剣技か? 短剣技は短剣術を覚えてれば勝手に覚えるのか?」
「短剣術LV1は覚えてるから、レベルが上がっていけば自然と覚えると思うんだけどね」
「フム、これ見えるか?」
俺は闘技を発動する。
「う~ん、見えないよ~。でもなんとなく感じるかなぁ……」
「んじゃ、まずは魔力を感じてそっから見えるようにするか」
「あとさっきの奴らの装備は売るけど、レッセル村だとバレるとまずいから、ニーナのいたビビット村? で売ってきてくれ」
「え~!? やだなぁ……」
「ジー……」
「わ……わかったよ」
槍を真っ二つにしたのは、もったいなかった。
このあと家に着くまでにホーンラビット(角の生えたウサギだった)を、2匹狩って持って帰った。
「ステラさん、ただいま~」
「ユウ、お帰りなさい。まぁニーナちゃんも一緒なのね」
「ステラさん、こんばんは~」
「ふふ、その様子だと友達になれたみたいね」
「は、はい! ステラさんのおかげです!!」
俺をそっちのけで、なんか二人でキャッキャ言っている。
今日の晩御飯はステラおばあちゃんの作ったパンとスープに、さっき狩ってきたばかりのホーンラビットの肉だ。
ステラおばあちゃんは最近元気がないので、もっと栄養のある物を食べてもらわないとな。
「ステラさん、ご飯そんだけでいいのか?」
「ふぅ、私はこれでもうお腹一杯だよ」
「モグモグ……」
ニーナがバカみたいにモリモリ食っている。
「ニーナ、お前は食いすぎだ!」
「だっへおいひいんだもん」
「そういえばユウ、山の方で盗賊を見たって村の人たちが言っていたわ。薬草採集で山に入る時は、気を付けなさい。
それにしても子供や女性を拐って、奴隷として売るだなんてひどいことを……」
「わかった。山に入る時は気を付けるよ」
盗賊か……。宝を溜め込んでそうだし探してみるか。
「さぁ、ニーナちゃん。今日は泊まっていきなさい」
ニーナが、俺の方をチラチラ見てくる。
「ステラさんがこう言ってんだ。好きにすればいいよ」
「わ~い!」
「ユウ、女の子にはもっと優しくしなさい」
「くっ。ニーナのせいで怒られた!」
「えぇ!?」
「おいっ。なんで一緒のベッドに入るんだ?」
「ユウ知らないの? 20歳未満の男女は一緒のベッドで寝ないといけないんだよ」
「っ!? そうだったのか……。ニーナ、俺はその辺の常識に疎いから今後も教えてくれ。だけどなんで抱きつくんだ?」
「…………これもく……国の法律で決まってるのよ…………ゴニョゴニョ」
何か呟きつつ、抱きついてクンカクンカと匂いを嗅いでくる。正直、勘弁してほしい。
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