第4話 MPを増やすぞ!

 あれから魔力を纏うスキルをずっと練習している。アクティブスキルの『闘技』という名前らしい。

 日課の薬草採集をしつつ、終わり次第闘技の練習をしている。

 最初の頃は5分もすればMP0になっていたが、毎日繰り返すことでレベルが上がらなくても、MPが増えることがわかった。筋肉と一緒で使えば使うほど増えていくみたいだ。

 

現在の俺のステータス

 

名前 :ユウ・サトウ

種族 :人間

ジョブ:なし

LV :1

HP :11

MP :8 

力  :3

敏捷 :4

体力 :5

知力 :22

魔力 :2

運  :1


パッシブスキル

なし

 

アクティブスキル

闘技LV1

 

固有スキル

異界の魔眼LV2

 

 今だと10分は持つようになった。MPが2から8になったのに、2倍しか持たないのは、魔力が2に上がったのが原因だと思う。勿論その分、身体能力向上の効果は出ているが、今は魔力の量のコントロールと、垂れ流しのMPをどうにかできないか練習している。

 何かコツはないかと、ハーゲやその取り巻きの冒険者達を尾行してみたが、あいつらの闘技は常に垂れ流しで得るものはなかった。

 そこで垂れ流しの魔力を、身体に循環するイメージで闘技を発動する。

 

 よし垂れ流しより負担も少ないな……。

 まだまだぎこちないが、あとはこの状態を常に維持しつつ、効果を確かめることにした。




 魔力とMPのコントロールをするようになってから、闘技を使いながら薬草採集を始めた。今まで薬草採集は夕方まで掛かっていたのが、昼前には終わるようになった。時間に余裕ができたので、更に筋トレも開始する。

 闘技を使うと身体能力向上で肉体が疲労しないので、筋肉が成長しない気がするからだ。

 ギルドへのクエスト報告も変に怪しまれると嫌なので、いつも通りの時間に報告しに行く。


「明日は、この倍は持って来い」


 ギルド長が偉そうに注文をつけてくる。相変わらず報酬の3分の2はピンハネされている。

 このギルド長は、スキルに『鍛冶屋LV1』と『錬金術LV1』を持っているので、薬草をポーションなどに加工して利益を得ているのかもしれない。

 ギルドから出る時に、ハーゲ達がこちらを見ながらヒソヒソ話していた。絡まれる前に急いでギルドを出た。

 村の連中と目が合うと蔑んだ眼でこちらを見てくる。


「黒髪に黒い眼……気持ち悪い」

「村から出ていけばいいのに」

 

 ひどい言われようだ。

 

『ヒュンッ』

 

 石を投げられた……勿論躱す。

 

「チッ」

 

 舌打ちされた。

 

 視線を感じたので目を向けると、赤毛の女がこちらを見ていた。年は15~17歳位で、上半身だけ革の鎧・下にホットパンツを履いて、短剣を装備している。

 あの女は、確かこの村に居る冒険者の最後の一人……。

 この小さな村には現在冒険者は5人しか滞在していない。ハーゲとその取り巻きで4人、最後の1人がこの女だ。

 他の村人とは違い。こちらを見下したり蔑んだ眼ではなかったが、今はさっさとこの場を離れたかったので村から出て行った。

家に着くと、ステラおばあちゃんが縫い物をしていた。


「おかえり、ユウ」

「ただいま」


「村でひどいことされていないかい?」

「大丈夫だよ」


 俺がたまに怪我をしているのを見て、ステラおばあちゃんも薄々感づいているみたいだ。ステラおばあちゃんが村から離れて暮らしているのも、閉鎖的な村に馴染めなかったと言っていた。

 今日は薬草採集が早く終わったことや、山でゴブリンを見かけたこと等を話して、その後はステラおばあちゃんに裁縫を教わって寝た。針で指を刺してしまった……。

 次の日、いつものようにギルドへ薬草採集クエストの報告へ行くと、おかしい。入口にハーゲの取り巻きが立っている。

 まるで獲物を逃がさないかのようだ。

 嫌な予感がするので、報酬を受け取り出口へ振り返った瞬間、腹に衝撃が走った。

 不意打ちだったのでモロにくらい、そのまま床へ座り込む。見上げると、ハーゲがいつもの気持ち悪い笑顔で見下ろしていた。

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