奪う者 奪われる者

mino

第1話 いきなり死亡

佐藤 優さとう ゆう 12歳は生命の危機に瀕していた。

(こ……殺され…………るっ)

 意識が遠のくなか、目の前の男を観る。

 義父で虐待を日常的にし金遣いも荒く俺がもっとも憎んでいる奴だ。 その横で母親も止めるでもなく観ているだけだ……


「悪いな……借金を返済する為にはこうするしかないんだよ。へへ」


 気持ちの悪い顔で笑っている。

 最後に思ったことは、世の中には奪う者と奪われる者の、2種類の人間が居る。

 自分は奪われる者で、常に奪われるだけだった。

 今度、生まれ変わったら奪う側になる……なってやる。

 強くそう思いながら暗闇の中、意識が沈んでいった。




 目が覚めると、ベッドの上だった。

 何がなんだかわからなかったが、現状把握が大事だ。

 まず、ここは病院ではないことは間違いない。ベッドの周りは質素で窓から外を覗くと森が見えた。


「あら、目が覚めたのかい」


 優しそうなおばあちゃんがそう言うと、俺が森の中で倒れていたこと息があったので連れ帰ったこと、最初は黒髪だったので妖精か何かだと思ったそうだ。

 何故、黒髪にそんなに反応するのかが不思議だったけど、おばあちゃんと話して色々・・わかった。


 まず俺を助けてくれたのがステラおばあちゃん。

 そしてここが日本……いや地球じゃないこと、レーム大陸のレッセル村という場所だそうだ。小学生の俺だってレーム大陸なんて、地球じゃないってわかる。

 それにステラおばあちゃんが話している言葉が日本語じゃない。なんで日本語じゃないのに言葉が通じるのかは、俺にもわからん。

 更に髪・眼が黒い人間が居ないそうだ。

 何よりここが地球じゃないって、確信した理由・・がある。

 目の前のステラおばあちゃんを見る。


名前 :ステラ・フォッド

種族 :人間

ジョブ:なし

LV :6

HP :11

MP :3 

力  :3

敏捷 :2

体力 :3

知力 :13

魔力 :4

運  :7

パッシブスキル

なし


アクティブスキル

なし


固有スキル

なし


 RPGのようにステータスが見える。ちなみに自分を意識して集中してみた。


名前 :ユウ・サトウ

種族 :人間

ジョブ:なし

LV :1

HP :8

MP :2 

力  :2

敏捷 :3

体力 :3

知力 :22

魔力 :1

運  :1

パッシブスキル

なし


アクティブスキル

なし


固有スキル

異界の魔眼LV1


 名前が漢字から、カタカナ表記になっている。

 異界の魔眼?これのおかげで見えるのか。

 兎に角、元の世界には戻れないみたいだし、戻る気もない。

 あんな糞みたいな、世界に戻りたいわけがない。

 幸いゲームの知識はあったので、ステータスに関してはすぐに理解できた。

 この新しい世界で、奪う側になってやる。

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