笹クレッ!
みちのあかり
笹
「笹クレッ!」
寺の坊主に子供が乱暴に声をかけた。
「下さい、せめてそのくらいの言葉遣いはできないのかい? そうか。明日は七夕か」
「そうだよ。だから七夕飾りを下げてゲーム機下さいって書くんだよ」
坊主は溜息をついた。
ここら辺で、笹が生えているのはこの寺くらいだ。お寺はいくつかあるが、他はみんな境内地はコンクリートで固めてある。檀家が少ないこの寺は、無駄に境内地が広かった。
「いつから七夕はクリスマスになったのかねぇ。うちは浄土真宗だから言うけど、神様や仏様にはお願い事をするもんじゃないよ。まったく」
「あっちの神社でもむこうのお寺でもお願い事させるじゃん」
「浄土真宗……いや、本来の仏教はそういうものじゃないんだけどねぇ。世も末だねぇ」
「何言ってんのかわかんない。いいからちょうだい、じゃないや、下さい! これでいいんだろ」
「まあ、くれてやるのはいいが、七夕がどんな祭りか知っているのか?」
「知らないよ」
「これだから……。では、七夕の話を覚えてからだな。話を聞いたら笹はやろう」
「仕方ないな。手短にしろよ」
「ああ。サクッとはなすよ」
そうして、坊主は織姫と彦星の話を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます