SF ねこうさ ゆりボイン 7
八乃前 陣
☆プロローグ 田舎の朝☆
地球世紀三四五六年。
銀河へ進出した地球人類は、様々な知的生命体との邂逅を果たし、今や銀河連合の一席を担っていた。
移民惑星も多く所有し、地球本星も一つの国家的に統一をされ、銀河で領界を持つにまで至っている。
惑星連合で認められている「全ての惑星に於ける自主防衛権」に則り、地球領界内で発生したあらゆる惑星人犯罪において、事件現場での死刑執行権をも許可された、特種捜査官という役職も設定されていた。
地球本星のニッポン国のトーホク地域に、朝が来た。
山間深くに、数軒の民家や小さな商店や狭い村役場しかない、田舎の中の田舎な村の、隣同士な「サカザキ家」と「ライゼン家」には、それぞれに娘がいる。
今、ライゼン家の元・子供部屋の床布団にて、マコトこと「ハマコトギク・サカザキ」十七歳と、ユキこと「ユキヤナギ・ミドリカワ・ライゼン」十七歳が、熟睡していた。
実家が隣同士で、同じ病院で同じ日の同じ時間に生まれた、二人の美少女。
共に、悪党どもから鬼と恐れられた連邦捜査官を祖父に持ち、憧れて地球連邦の特種捜査官となったマコトとユキは、生まれた時からの幼馴染みで、精神的には夫婦同然な間柄であった。
捜査官の寮でもルームシェアをしている二人は、ベッドルームで並んだベッドに眠っていても、朝起きるとヌードで抱き合っている事も、既に日常である。
「ううん…」
「…ん…」
中性的な王子様のように美しいマコトが、小さな寝息を零すと、ゆるふわお姫様にしか見えない愛顔のユキも、一緒に吐息を零したり。
ボーイッシュなマコトの、黒いネコ耳やしなやかなネコ尻尾がピクんと跳ねると、優しいガーリィなユキの、白いウサ耳や丸いウサ尻尾も、ピクんと反応。
静かな寝息を立てる二人の間には、ユキの実家の飼い犬でもある大アキタ犬のシュンビンマルが、全長四メートル弱の身体を真っ直ぐに伸ばし、左右から主たちに抱き占められていた。
スヤスヤと眠る、ショートカットのマコトとゆる波ロングなユキは、その魅惑的な純潔裸身を愛犬へと密着をさせながら、柔らかくて丸い巨乳も引き締まったウェストも広い少女腰も、愛犬の体毛へ半分ほど埋まっている。
シミ一つとない細くしなやかな腕や、脂の乗ったムチムチな艶腿を、愛犬へと柔らかく絡ませていて、無防備な艶腿も縦開脚で開かれてしまっていた。
愛犬の体温は人間よりも少し高く、眠りながら抱き付く二人は、掛け布団すら剥いでしまっている。
銀河でも指折りな美少女二人に、裸で左右から抱き付かれて眠るなど、普通の男性だったら押さえきれない邪な欲求で、暴走をしてしまうだろう。
少なくとも、この天国を体験した異性は、銀河広しといえど、只一人しかいない。
惑星サンサー・ラランドの、地球年齢に当て填めると十歳の美少年王子、アレンショタール王子だ。
その幼い美少年は、極度な恥ずかしがりなうえ女性を恐れる性格であり、二人は兄王子であるアランプリマージュよりのご指名を受けて、ショタ王子を女体慣れさせる任務を与えられ、その一環だった。
ショタ王子の護衛兼女体慣れの任務を無事に果たしたマコトとユキは、その任務にてシュンビンマルを懐かしく想い、久しぶりの休暇で里帰りをしている。
「んん…ふわわ…」
マコトが目を覚まして、しかし温かい愛犬に扇情的な裸身で抱き付いたまま、上品な欠伸をした。
「んん…ユキ、朝だよ…」
普段はボーイッシュなマコトが家事炊事を担当しているので、朝食の用意などの為に、ユキよりも早く目が覚めたりする。
「…朝ですの…? あ…ぁふ」
静かな欠伸で返すお姫様のようなユキも、温いシュンビンマルから魅惑的な裸身を剥がす事もなく、むしろより深く抱き付いたりした。
「…ユキ、今日から仕事だよ」
「ですわね…ぅんん…!」
マコトが気怠げに裸身を起こすと、大きなバストがタプんっと揺れて、ユキが伸びをすると、突き出された艶巨乳がプルっと弾む。
主たちの目覚めを感じ取っていた忠犬は、少し前から覚醒をしていて、目覚めた二人の頬へ鼻を寄せ、ペロペロと起床の挨拶をくれた。
「ぅふ…シュンビンマルちゃんったら」
「ん…くすぐったいよ」
言いながら、愛犬の頭や首へ優しく触れて、白魚のような指間に体毛を通し、撫で上げる。
シュンビンマルが一番喜ぶ愛撫を、ユキは眠たそうな愛顔で、マコトは気怠そうな美顔で、何度も施した。
ケモ耳な母たちが朝食を用意してくれて、マコトとユキは眠っている間に脱ぎ散らかしてしまった下着やパジャマを着直してから、キッチンへ。
「お母さんたち、お早う」
「お母様、お早う御座います♪」
「お早う、マコト、ユキ」
「ユキちゃん、マコちゃん、お早う」
ユキは、母親たちや父親たちを、一人称的に呼んだりする。
「お父さんたち、お早う」
「お父様、お早う御座います♪」
二人の母は明るく挨拶を返すけれど、キッチンでさり気なくニュースをチャックする二人の父は、年頃な娘にどう接して良いのかイマイチ解らない様子で、ボンヤリとした挨拶を返す。
「お、おぅ…」
「うむ…」
もう田舎で三日ほど過ごしているのに、父親たちは、まだ照れくささが残っていた。
都会へ出て、地球連邦の捜査官として銀河にその名を轟かせる正義の娘たちが、誇らしくもあり、心配でもあり。
「さ、お父さんたちも」
「朝食を戴きましょう♪」
「お、おぅ…」
「うむ…」
娘に腕を引かれた父親たちは、やはり照れくさそうであった。
「それじゃあ、また」
「シュンビンマルちゃん、良い子にしているのですよ」
二人の家から歩いて十分ほどの車道に、バス停がある。
「やっぱり、田舎は 不便だけどさ」
「ええ。この不便さを味わいますと、田舎へ帰ってきた…と、実感をさせられますわ♪」
都会というか首都と比べると、田舎のインフラは、まだまだ整備が遅れていた。
この、それぞれの家々が五階建てと低く、スーパーも十階建てと小規模で、都会への直行バスも二時間に一本という田舎の不便さは、逆に都会では味わえない、ノンビリとした時間を体感させてくれる。
都会のように、どこにでもドローン・タクシーが待機をしている整備性に比べると、どうしても田舎は、良い意味での不便さが、まだあった。
バス停に着いてから二分ほど待たされると、上空から、高速飛行バスが垂直着陸をする。
ドアが開いて二人が乗ると、目的地であるトーキョーシティーへ向けて、飛翔を開始。
トーホクの白い高い山々を越えて、二時間ほどで、首都へと到着をした。
長距離バスを降りて、国家公務員専用の大気圏外経由の往復バスへと乗り換えて、二人は捜査本部がある太平洋の人工大陸「ネクスト・アトランティス」へと向かった。
一時間と待たずに到着をすると、二人の生活する捜査官の寮は、目の前である。
寮の自室へ戻ってくると、マコトもユキも気持ちが引き締まり、荷物を置いて全身をうーんと伸ばした。
「んん…それじゃあ、ユキ」
「ええ、本部へ向かいますわ」
二人は着衣を全て脱ぎ捨て、シャワーで一緒に裸身を洗浄すると、いつもの制服を身に着ける。
二人の制服は、地球連邦の対外的な好感度アップという宣伝の役目もあり、とても大胆なスーツである。
上半身は銀色に艶めくメカビキニのカップで護られているものの、乳肌谷間の露出はトップをギリギリで隠しているデザイン。
背面も留め具が細く、華奢でしなやかな背中は、ほぼ剥き出しだった。
括れたウェストも全方位で晒されていて、腹部を過ぎて左右と後ろへ拡がる豊かなヒップは、急角度で露出も豊かな銀色ハイレグTバックという、メカビキニ。
前も後ろもギリギリの保護面積で、細いTバックが極上に似合う丸くて白いお尻は、左右とも完全に剥き出しであった。
Tバックの上部には尻尾を出す穴があり、メカニカル・ハイレグの左右が、ガンベルトと接続をされている。
マコトは、左右のホルスターに男性用の大型レーザーガンを差している二丁流で、ユキは右の腰に小型のヒートガンを携帯していた。
両腕もメカアーマーのグローブを装着し、両脚もメカアーマーのブーツを着用する。
それぞれの耳を、捜査官の装備品である多機能イヤリングで飾って、準備は完了。
「ユキ、ボクの姿 どう?」
「ええ。マコトはいつも、素敵ですわ♪」
と言いながら、ユキもマコトの感想を欲しがる。
「うん。ユキ やっぱり可愛いね」
「うふふ♡」
家事炊事を担当するマコトは、自分の美貌にもオシャレにも、少女としては無頓着だ。
対してユキは、家事一切は全くダメだけどオシャレに明るく、更にメカにはマッドなヲタクでもある。
大胆な正装に身を包んだ二人は、高速エレベーターで地下駐車場へと降りて、捜査官専用ビークルで、本部へと向かう。
「マコト。皆様へのお土産は、乗せましたでしょうか?」
「うん」
ビークル・コントロールに於いては銀河トップのユキが、常に操縦を受け付ける。
平時に関しては、銀河一の射撃能力と認められるマコトも、出番は無い。
「それでは、出発いたしますわ」
二人は一週間ぶりに、本部へと向かった。
~プロローグ 終わり~
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