【完結】私を醜い豚と罵り婚約破棄したあなたへ。痩せて綺麗になった私を見て今更慌てて復縁を申し出てきても、こちらからお断りです。
不死じゃない不死鳥(ただのニワトリ)
第1話 婚約破棄
「醜い豚め!俺の前から消え失せろ!」
私、エレオノーラは今日、結婚するはずだった彼、
アレクに婚約破棄を告げられた。
婚約破棄の理由はいたってシンプル。
私が太っていて豚のようだからだそうだ。
アレクは婚約破棄を告げるとき、
新しい婚約相手と共に私の事をさんざん馬鹿にし、
醜い豚だの、醜女だのと散々罵ってきた。
思い出すだけで気分が悪くなってくる。
元々、お互いの両親が決めた愛のない相手ではあったが、
ショックは大きい。
いつもならばあれだけあった食欲も、
まったく湧いてくることはなかった。
・・・私が太っていて、
周りの子より可愛くないのは、事実だ。
それは自分でも理解している。
私だって体型を気にしてはいるのだ。
周りの子のように、シュッとしたスタイルの良い体なら、
人生楽しいだろうにと憧れることもあった。
でも、そうだとしても、
あそこまで罵られなければならないのだろうか?
醜い豚。それが今の私を表す言葉。
何も悪いことはしていない。
でも太っているだけで、人として扱ってもらえない。
どれほど成績優秀であろうとも、
人間でなければ意味はない。
勉学が出来る豚など、面白がられ笑われるだけ。
くやしい、くやしい、くやしい、くやしい。
目から涙があふれ出してくる。
でも、今の私のままだと、
彼に言い返すことはできない。
・・・いやだ。
そんな人生は嫌だ。
豚と陰口をたたかれながら生きるなんて、
悪口に怯え続ける人生なんて地獄以外の何者でもないじゃないか。
人として生きたい。
ひどい言葉を浴びせた奴らを見返してやりたい。
あの時、あんな言葉を言わなければ良かったと、
一生引きずるくらいに。
絶対に後悔させてやる。
本気で痩せて、あいつらを見返してやるんだ。
私は心の中で固く決意する。
そうして私の減量の旅が幕を開けるのであった。
はじめに徹底的に食生活を見直した。
今までの食べたいものを食べたいときに食べる食事を辞めて、
バランスの良い食事を決まった時間のみに食べるようにする。
大好きだった甘いお菓子も、すべて断った。
彼に豚といわれた苦しみに比べれば、苦しくともなんとなかった。
毎日運動をするようにもした。
動くたびに体に付いた無駄な肉が揺れる。
すぐに呼吸が荒くなり、汗がたくさん出てくる。
すごく苦しかった。
でもあいつらを見返してやるんだ、と、
心を震わせその苦しみに必死に耐えた。
ここであきらめてたまるモノか。
変わるんだ。
今度こそ。
もう二度と同じ後悔をしないためにも。
頑張れ、私。
そう思って、走った。
~1年後~
鏡の前で、目を開き、今の自分の姿を見つめる。
そこに、もう豚はいなかった。
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