42:やばいのばっか

「『泥沼の魔法・改』。」


「ッ! なんだ!?」


「きゅ、きゅうにじめんがぁ!」


「う、動けねぇ! 助けてくれぇ!」



“彼女”がそっと声を呟いた瞬間。招かれざる者たちの足元が底なし沼へと変貌し、急速にその体が沈んでいきます。本来の効果であればただ足元が泥沼となり移動力の低下、また足元が不安定になる事による速度や攻撃力の低下が見込まれる魔法です。湿り、滑ってしまうような場所では踏ん張ることが難しいのは周知の事実。地上を歩く兵たちにとって凶悪な魔法と言ってもいいでしょう。


まぁ“彼女”は、それをより凶悪にしてしまっているのですが。



「潰しても潰して湧いてくる。貴方たちは油虫かなにかで? 朝から最悪の気分だったというのに……! もぉ~っと悪くなりましたわァ!」



その身に宿る魔力を爆発させながら、ゆっくりと盗賊たちの前に現れるのは、ふわりと広がる金の髪を持った少女。いや少女というには少し幼過ぎる存在。親友であるティアラから『盗賊スレイヤー』の名を実質的に受け継いだ彼女の名は、フアナ。


原作における主人公パーティの初期メンバーの一人であり、育成次第では最後まで戦い抜くことが出来る『魔法使い』、魔女の一人である。



「教本にはそんなこと書いてありませんでしたが……。女神様が仰るには、魔法はイメージの世界だそうです。私が出来る、と思えば実現する。あいにく底なし沼は見たことがありませんが……。想像することはできますわ。」


「こ、子供ッ!」


「話の途中、うるせぇですわ、死に晒せ。」



フアナが姿を現したことで、その場違いさからか動揺する盗賊たち。しかし口を開いた一人が爆炎に包まれたことにより、即座に黙り込んでしまう。魔法によって生成された沼は、フアナの思うがまま。彼らの肉体の半分はすでに泥沼に浸かってしまっており、身動きなど取れるはずもない。


盗賊たちに出来るのは、ただ見逃されることを、祈ったこともない神に願うだけである。


ま、彼らが知る神は人間のことなんかどうなろうと気にしないだろうし、私も信者予備軍の子の“成長”を妨げるのはしたくないからね~。ごめんね? そも人の争いに不干渉だし。まぁ来世は少し良くなるように考えておいてあげるよ。……そういえばこの世界の輪廻のシステムどうなってんのかな。私が消えてからアイツらがメンテしたとは思えんし……。かといって今の私がシステム関連に侵入したら流石にバレるだろうしな……。



「時間だけはありましたので『改良』というものに手を出してみたのですが……。案外よいかもしれませんね。使い分けができれば、より戦術の選択肢が増える。ですが、それを活かせるかどうかは別問題、というところですわね。」



そういいながら、彼女は新しく覚えたのであろう『切断の魔法』を詠唱。魔力の刃によって盗賊の首を刎ねるフアナ。


彼女がこの仕事を始めたころは人の死体や、そのまき散らされる血を見て戻してしまうことも多々ありましたが……。数を熟せばなれるというもの。いまだ親しき人が消えてしまう恐怖はその中にあるようですが、関係のない者、もしくは敵対関係にある者がどのような死を迎えようとも、彼女の眉はぴくりともしません。



「かといって戦場に出られる年齢でもありませんし……。女神様のお話を聞いていると、お母様に取り寄せてもらった『魔法兵』の教本もあまり当てにならないようですしね。」



彼女が持つ魔法の力は非常に強く、初期こそ盗賊相手に苦戦していたようですが、今では相手に指一本動かせぬままに屠ることが出来る様子。しかしながら自身が伝え聞く“彼女”の活躍を知れば知るほど、今の自身ではお荷物になってしまうと感じるフアナ。取れる選択肢は徐々に増えていますが……、実戦経験の少なさが彼女の心に影を落としていました。



(力が、力が足りない。)



日々盗賊の処理を進めながら、魔法の研鑽に努める彼女。その夢枕には時たま、彼女たちが信仰する神がやってきます。単純にフアナ自身の経過報告をする日もあれば、ちょっとした雑談だけで終わる日、魔法に関する質問を神にしたりと、彼女はその時間を非常に有意義に使っていました。ですが、それらは真に彼女の求めるものではありません。


最も聞きたいのは、神からの“彼女”の話。フアナの親友であるティアラが、いったい何をしているかの話こそが、彼女の望むものでした。


……いや私もね? できたら毎日教えてあげたいのよ。でもフアナちゃんってちゃんとした私の信者じゃないし、私も私でやる事あるし、ティアラちゃんから目を離すと本気で何しでかすかわかんないし……。ちょっと落ち着いたときにね? まとめてお話してる感じなのよ。


まぁそんな神の話を、フアナは昨日聞いたばかり。その内容のせいか、彼女は朝から機嫌が大層悪く。ストレス発散のために村の外へと繰り出したのです。



(模擬戦で死にかけた、という話を聞いたとき。もう頭がおかしくなりそうになった。周りの大人は何してたのかとか、対戦相手のエレナとか言う奴は何してるのか、そもそもケガした可能性が高いのにまだ模擬戦を続けていたティアラ。どこか痛めたのなら普通棄権して治療を受けるべきでしょうとか、言いたいことはたくさんある。)


「無事に終わったのなら、まぁ許しましょう。単にグチグチとお小言を言うつもりなどありませんわ。そんなことで嫌われるのは嫌ですもの。ですが……。」



つい考え事を口に出してしまうフアナ。


怯えながらもどうにかして逃げだそうとしていた盗賊たちの頭に疑問が浮かびますが、別のことを考えてくれているのならありがたい。ある一人が何とかして底なし沼から逃げ出そうとしますが……。視線すら向けず、フアナから『火球の魔法』が飛び、その頭部に直撃、爆散します。


既にフアナにとって彼らは籠の中の鳥、すべてが彼女の意のまま。


だからこそ彼女は、その感情を“誰もいない場所”で叫ぶことが出来るのです。



「私というものがありながら、どこの馬の骨か解らない様な存在を“ライバル”、と? ……ふふ、ふふふ! ふざけんじゃねぇぞ!!! あいつの隣に立っていいのは私だけだッ!!! あと“フアナ”と“エレナ”って名前の響きとかとっても似てる! ムカつく! 改名しろ!!!!!」



積み重なったやるせない思いを爆発させるように、全身の魔力を隆起させるフアナ。幼いながらも熟練の魔法兵の足元に届きそうな魔力を持つ彼女は、盗賊たちにとっての“死神”そのもの。声を潜め、震え、死の時が少しでも離れるように、彼女の怒りがこちらに向かないように、祈るしかありません。


一度流れ出してしまった怒りは、もう止まりません。彼女自身、この怒りの根本は彼女の傍に自身がいないこと、そしてその隣に立つために必要な力をまだ手に入れていないことだということは重々理解しています。しかしながら、それ以外にも怒り狂う理由が多すぎるのです。



「村の人たちは何も知らず能天気に暮らしてる! リッテル様はここまで周囲が盗賊だらけだって言うのに仕事しない! 目の前であの子があんなにも頑張ってた姿を見てたのに男子三人衆は遊んでばかり! ウィレムはなんだ!? ベルがいなくなった程度でメソメソしやがって……! こっちは働いてるんですよ!!!」



普段のお嬢様言葉を忘れ、誰から教わったのかかなり荒々しい言葉を吐いてしまうフアナ。


い、一応彼らの名誉のために弁明しておきますが……。村の人たちは能天気と言いますか、普通に日々を過ごすことが仕事なのでそれで問題ないです。まぁ周囲が盗賊だらけって言うのに全く危機感がないと言えばそうなのですが……。彼らはちゃんと働いてます。


リッテル様ことこの村の領主も、仕事自体はしてるんです。森の中は無法地帯と化していますが、街道の周囲は彼が治安を維持しています。確かに本来であれば村の周囲、森の中も調査しなければならないのでしょうが……。ちょっと手が回っていない様子。まぁそれも仕方のないこと。


なぜか彼女たちの村の一番近くにあった町の領主さまが行方不明になったそうで……(ティアラにバイバイされた男爵)。リッテルは王国軍で将軍をやっていた人間ですし、この周囲の中では一番位が高い人間です。男爵家の人たちが彼に泣きついてしまったため、その面倒を見るためかなり忙しい、というのが現状。


ウィレム君こと、主人公君に関してですが、一応彼なりにも頑張ってはいるのです。いなくなってから恋心を自覚したヒロインのベルことイザベルちゃん(腹違いの妹)のことを思ってたまに泣いてしまいますが、ティアラの戦いに思うことがあったのも事実。原作よりも早いペースで自己鍛錬を進めています。


男子三人衆は……、すいません弁護できません。この子たちは原作通りの成長になりそうですね……。



(ティアラが身を削って力を欲してる! つまり9年後には! そこまでしないと勝てない様な相手が! 眼も塞ぎたくなるような何かが! 絶対に起きてしまうのです! だというのに……!)



フアナちゃんは才能も有りますし、ストイックなところもあります。ティアラが姿を消してしまったあの時、あのタイミングで全員にいうのではなく、神を通して私だけに言った。このことから“何かが起きる”という情報は秘匿せねばならないと判断したフアナ。


故にこのすれ違いというか、一人だけ頑張っているような状態になるのですが……。彼女もまだ子供。周囲のペースの遅さに怒りを抱いてしまっても仕方のないことです。



「ッ! ……いけませんわね。魔女たるものいつでも冷静でいなければなりませんわ。母の教えですもの。あの子があれほど頑張っているというのに、他の方々はそれを知らずのんきに過ごしている。えぇ、えぇいいでしょう。でしたら私だけで何とかして見せますわ。」



あの子の隣に立つのは、私だけですもの。


そんな言葉を心の中で口ずさみながら、魔法を起動するフアナ。“エレナ”という急に現れた泥棒猫に対応するため、またあのちょっと抜けているところのある親友を地面に叩き落してボコボコにするために。空を主戦場にする者たちに特攻がある『風』系の魔法の習得を決めたフアナ。


ですが流石にいくら才能のある彼女と言っても、いきなり0から魔法を習得することができません。出来るのは、彼女の母が行っている商人としての仕事、その仕入れ表の上に『風系統の魔導書か、教本を買ってくださいまし!』というメモを叩きつけるぐらい。


まぁ故に、今から彼女が行うのは……。


『力』


今彼女が出せる、最大出力の調査です。



「魔法の、複合。速度が重要とされる戦場では時間が掛かり過ぎる故、実用性がないかもしれませんが……。威力だけはありそうでしょう?」



彼女が頭上に生成するのは、火球と、氷球。そしてさらに積み込むのは、『切断の魔法』。彼女のいう“女神様”が、『そういえば過去の魔法使いにこんな方がいましたよ』と教えられた知識の断片から、自身でたどり着いてしまった技術の一つ。



「『火球の魔法』、『氷球の魔法』、『切断の魔法』。合わせて『炎氷断の魔法ギアフォタイテ』といったところでしょうか?」



そう彼女が唱えた瞬間、頭上に完成してしまうのは、半月状の刃。盗賊たちをこの世から抹消する、ギロチンの刃。炎と氷という相反するはずの存在を一つに押し込み、切断という概念を与えることで固定化する。思考が常識によって固まっていない幼子だからこそ出来る魔法であり、親友の隣に立つのは自分だと強く思うからこそ到達した高み。



「では、神の元にお送りして差し上げましょう。」



彼女が指をそっと盗賊たちに向けた瞬間。ティアラが放つ“射出”にも負けぬ速度で、その刃が動き出す。フアナの意思の通りに動くそれは一寸の狂いもなく盗賊たちを切り殺し、役目を失ったそれは空へと霧散していった。



「っと。やはり想像以上に魔力を……。あら、この感覚。“階位”が上がりましたわね。四つほど上がった際に職を『魔法使い』にしようとした時。神に止められましたが……。今の状態でも“階位”ってあがるんですわね。面白いですわ。」



そういいながら、ゆっくりと村の方向に帰り始めるフアナ。つい怒りのあまり飛び出してしまったので、盗賊退治に使っている装備も持たず、また両親に『外で遊んでくる』などの言伝もしておりません。


つまりご両親からすれば、急に飛び出してしまった娘というわけです。魔法を使い、レベルを上げたことでようやく冷静になったフアナは、親に対する上手い言い訳を考え始めます。すでに魔女である彼女のお母さんよりも強者になってしまったフアナでしたが……、やっぱりママにはまだ勝てないようですね。





とりあえず私、アユティナからコメントするとすれば……。て、ティアラちゃん? 相当頑張らないとフアナちゃんに殴り殺されるかもしれないから頑張ろうね。ステータスの伸びとんでもないし、『再開時ティアラ殴るカウンター』が怖いことになってるよ……! わ、私も色々手を貸してあげるから! 頑張ろうね!







 ◇◆◇◆◇







場所は変わり、迷宮都市へ。


冒険者ギルドのとある一室。ある女性が本日の業務を進めていた時……、入室の許可を求めるノックがドアの外から聞こえてくる。



「どうぞ。」


「失礼いたしますギルド長。お手紙が届いておりましたため、お持ちしました。」



ギルド長室、そこにやって来たのは新任の受付嬢。ギルド長が新規職員として採用した人間の一人であり、裏社会とのつながりもなく、同時に何かしらの悪事にも手を染めていない綺麗な存在。この欲望渦巻く迷宮都市に於いて珍しいレベルの存在であり、同時に見た目も性格も申し分なし。


空いてしまった受付嬢のポストに、最適な人材だった。


まだ業務に慣れていないせいか、かなりの冒険者たちに言い寄られ、その対処に四苦八苦しているようだったが……。業務を重ねるごとに経験を積み、上手く捌けるようになるだろう。そんなことを考えながら、ギルド長は手紙を受け取る。



「ありがとう。……それで、仕事の方はどうですか?」


「やっぱり、慣れないことも多くて……。毎日勉強させていただいております。」


「そう……。あまり気張り過ぎないように。仕事は“仕事”です。給料以上のことはしなくていいですからね。」



そう言うと、受付嬢に退室を命じる彼女。自身の後任とも呼べる存在を見送り、ドアが閉まった瞬間……。軽くその手を叩く。その音が部屋に響くよりも早く、現れるのはギルド長直属の“影”たち。この都市の裏社会に於いて、急速に力を伸ばしてきた“彼女”子飼いの精鋭であり、広く深い裏社会の情報を統括する立場の者たちだった。



「少し個人の時間をください、人払いを。」



彼女がいるギルド長室は、任命された時点で改造を施し、窓を埋め防音設備を取り付けるなどの改装が行われている。だがそれでも、壁に耳を当てれば聞こえてしまうものもある。彼女の配下たちは深く礼を返し、その場から消える。そしてその直後に聞こえる、ドアからの軽いノック。


人払いが済んだことを示す、合図だった。


ギルド長はその胸につけていたタイを緩め、引き抜き……。地面に叩きつけた。



「なんで私がギルド長なんかやってんだよォォォ!!!!!」



セルザ、就任後三桁目の叫びである。


ティアラたちがこの町から出て、一年と半年程度。原作開始まで残り8年となったころの春の季節。


ティアラ本人は迷宮都市に戻るか、子爵領に残るか少し迷っていたようだが……。エレナが初めてできた友達と離れるのを嫌がり、そのママであるナディーンさんが『姉上とお別れするのヤダヤダ』とみっともなく駄々をこねたので滞在が延期。結局その一年を子爵領で鍛錬に費やすことにした。


そしてその一年を終え、迷宮都市に戻ってレベリングを開始するため子爵領を出発したティアラたち。その旨を報告する手紙をセルザっちに送り、それがちょうど今届いた所だったのだが……。



「なんで、なんで……。私受付嬢ぐらいの責任でうまい具合に金貯めて、いい人見つけて寿退社できれば幸せだったのに……。なんでギルド長に? 責任、責任が重い。というか上の重役とかの距離が近くなったせいでストレスが……!」



セルザさん、とてつもない出世をしてしまいました。


それもそのはず。


例のロリコン伯爵との戦いと、その後始末。それを行うために彼女はギルドの情報網を裏社会まで広げ、その広域をギルドの管轄。正確に言えば“彼女個人の管轄”にするということに成功しています。そして伯爵からティアラちゃんが奪った金貨300枚の一部、金貨100枚も入手していました。


最初はちょっとだけ趣味のコスメとかに使っていたのですが、途中から『なんか金減っていくの見るの精神に悪いな』と思い始め投資を開始。ギルドの裏と表の情報を使い、業績が良さそうなところに投資しまくった結果……。この迷宮都市でも上から数えた方が早い資金を獲得。


更に裏社会に手を伸ばしているため、彼女が得た資金を求めて多くの情報が流れ込むように。ギルド内で起きていた不正や、前ギルド長の汚職など、全然欲しくないものまで手に入ってしまったのです。



「都市長にアレ全部報告しない方が良かったのか!? いやその場合かなりヤバいレベルの損害が……、あぁ!!! そうだよな! 言うしかなかったよな! んでその空いたポストに私入れるよな!!!」



彼女の性質は、まぎれもなく善。不正や汚職を見逃すこともできましたが、彼女が見つけてしまった案件はギルド自体の存続にかかわるものでした。仕事を失うことを避けたかった彼女は裏のルートを使い、この町の最高権力者である都市長に密告。即座に汚職職員&ギルド長は更迭されることになったのですが……。


空いたポストに誰を入れるかと言えば、まぁ彼女しかいないよね、ということで。


最初は『うぉ、受付嬢に比べたらとんでもなく賃金いいな……。』と喜んでいた彼女でしたが、即座に後悔します。賃金が驚くほど上がるということは、責任も重圧も驚くほど上がるのです。



「冒険者ギルドというこの町の産業を支える巨大組織の長。軽くないわけなかったよな……。」



責任やその重圧に潰されるほどセルザさんは弱くありません。


ギルド長としての業務も、汚職職員を消し飛ばした後に出来たポストの穴埋めも、何とかこなしてしまいます。


ですが彼女は町を支える産業の主です。多くの人間が彼女とお近づきになろうとしますし、“政治”も多分に関わってきます。貴族との関わりもかなり増えてしまいましたし、なんかたまに例のロリコン伯爵が『まだ我が天使は帰ってきてないのかね? 』なんて言いながらやってきたりもします。



「めんどい、めんどすぎる……。普通に体狙って来るクソ野郎もいるし、そんなのでも一応客だから話しなきゃなんねぇし、裏からどんどんそいつを失脚させられる情報流れてくるし……。」



何とかギルドに信用できる人間を入れ、自分の仕事を分割できるように育成を始めていますが……。未だそれも途中。いつの間にかギルドだけでなく裏社会でも影響度をどんどんと深めていってしまっている彼女。自分がどこに行くか解らないという不安を抱えながら、今日も頑張ります。



「あ~。とりあえず後進育つまでの辛抱か。んで、手紙は……。あいつらからか。」



疲れで歪んでいたその顔に、笑みが戻ります。驚かせるためにギルド長になったことは手紙に書いていませんが、何かとずっと文通してきた仲です。手元で暴れられると困りますが、手紙越しであのクソガキが暴れているのを見ていると、少し笑えます。辛いお仕事の中に生まれた、一つの癒しでした。



「えっとなになに……。あぁ、そろそろ帰ってくるのか。」



たった一年ですが、彼女にとっては非常に長い時間。過去を懐かしく思い出しながら、自身のデスクからずっと取ってあった書類を取り出します。



「喜んでくれるといいんだがな。」




ーーーーーーーーーーーーーー



〇『氷球の魔法』(消費MP2)

下級職『魔法兵』転職後、特定のアイテムを使用することで習得可能。『魔法兵』の通常魔法攻撃。相手にINT(魔攻)等倍の攻撃を行うスキル。また低い確率で相手に『氷結』(一定時間行動不能)の状態異常を与える。


〇『切断の魔法』(消費MP2)

下級職『魔法兵』転職後、特定のアイテムを使用することで習得可能。『魔法兵』の通常魔法攻撃。相手にINT(魔攻)等倍の攻撃を行うスキル。なおこのスキルのダメージ計算はINTーRESではなく、INTーDEFで行う。このスキルを所持している場合、女性キャラの触手系イベントが分岐する。


〇『炎氷断の魔法』(消費MP8~)(ギアフォタイテ)

フアナが習得した魔法、原作に登場しない魔法であり、3000年の間に失伝した神にも届きうる“複合魔法”の一つ。相手にINT(魔攻)2倍の攻撃を行うスキル。範囲攻撃可。またMPを消費した分だけダメージの加算が可能。


フアナ 村人 Lv1→8


HP (体力)8 →10

MP (魔力)12→18

ATK(攻撃)2 →3

DEF(防御)3 →5

INT(魔攻)8 →15

RES(魔防)8 →10

AGI(素早)4 →6

LUK(幸運)9 →11


MOV(移動)4


『火球の魔法』

『氷球の魔法』

『切断の魔法』

『泥沼の魔法』

『大火球の魔法』


スキル『魔力操作』

スキル『魔法改造』

スキル『複合魔法』




第三章は今回で終了になります。次回からは第四章、『原作開始前:強化編』が始まります。今後ともよろしくお願いいたします。



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