黒颯のエレティコ ~忘れ去られた神の力で凌辱シナリオをぶっ壊す~

サイリウム

原作開始前:故郷編

1:くたばれ異世界



(なんで転生したのに主人公じゃないんですかヤダァァァアアアアア!!!)



いや解りますよ! 別に主人公以外の転生が普通にあるってことは! そういうお話の中で色々ありますよね! 主人公から始まってライバルにヒロイン、敵役でもラスボスから始まって最初の村に出てくる一撃で殺される雑魚! もちろん何も知らないモブへ転生するってのも流行りの一つとして存在してたってことは理解してますとも! ビバ多様性!


でも! でもですね!



(しかもよりにもよって全ルート曇らせand凌辱死の! 界隈ご用達キャラになってるんですかねェェェ!)



私も多少嗜んでましたよ!? むしろ結構好きな分野でしたよ! そりゃ全ルート回収する過程で見なきゃならなかったですからね! やるなら全力で楽しまなきゃ損って思って愉悦させていただきましたとも! 一人の少女が儚く消えていく様子に興奮いたしましたとも! 異常性癖かって? うるせぇ日本舐めんな一般性癖だ!






 ◇◆◇◆◇






ことの始まりは、ほんの数日前に遡る。


山の麓に位置する村の何の変哲もない農家の家に女として生を受けた私は、生まれつき体が弱かった。両親にとって初めての子供であり、何年も子供を成せなかった二人の間に生まれた玉のように可愛い女の子。いくら生活が厳しくとも、体が弱く病気がちという理由だけで初めての娘を切り捨てるという選択肢は取ることが出来ず、私の体が何とか改善するように心血を注いでくれた。


文明レベルは明らかに中世程度、言ってしまえば不良品の娘など捨てて新しい子を為した方が早いし、費用対効果で優れている。しかしながら私の両親は、お荷物であるこの身を捨てず、育ててくれた。


が、寒村の農家にできることなど知れている。高い金を払って医者に掛かっても、改善は不可能と診断。もはや神に祈るしか助かる道を見いだせなかった。しかし神が助けてくれるはずもなく、体の状態は日々悪化し、調子のいい日しか歩くことができない。そして歩けても数歩程度で、基本的に大人の手を借りなければ移動なんてほぼ無理だった。


そんな手のかかる私を娘として育ててくれる両親。


私は、そんな家庭で育った。


自我を持ってから見るものすべてに強い違和感を感じ、同時に過去に何度も見たようなギャップを感じていた私はそれを口にすることはなかった。言っても如何にもならないし、逆に親を困惑させてしまうだけ。そもそも生きることに精一杯だったのだ。疑問さえ持てど、おそらく自分が“異物”である故の違和感だろうと考える。



(まぁ外を見てみれば自分と同じくらいの年齢の子たちが楽しそうに走り回っているわけだ。走るどころか真面に歩けもしない自分を“異物”って考えてしまうのは仕方のないことかもしれないよね。……自分のことだけど。)



この世界に疑問を持ったのと同時にソレを理解した私は、愛を持って接してくれる両親のためにこの想いを胸の中に押し込め、彼らと同じように神に祈り続けた。


小さな教会にある小さな女神像、司教やシスターがどんな教えを説いたとしても全くそれを信じることはできなかったが、私にとって世界であるこの小さな村において神は絶対。私の体が少しでも良くなるように神に祈る熱心な信徒である両親に習い、意味のない祈りをささげるのが常。


何も返って来ないことを理解しながらも、ただ二人の気持ちが少しでも楽になるのならと、同じ行動をし続けた。


体の弱さから他の子供たちのように自然豊かな村を走り回ったり、大人の手伝いとして畑仕事をすることもできない。せめてもの償いとして体の調子が良い日のみ母の手に引かれ教会に向かい、親の仕事が終わるまで何の救いも与えてくれない神に祈り続ける毎日。それが一番両親が安心できる選択肢だったから、それを選んだ。


そして、私の年が5つに成ろうとしたその日。



私は強烈な頭痛に襲われた。



終わってみれば私の前世の記憶が流れ込んできただけなのだが、あの時の私には本当に何が起きているのか解らなかった。いつものように空が光を取り戻して来たころに起床し、両親と挨拶をかわし、外の空気をゆっくりと肺に送り込みながら朝日を眺める。


今日は少し体の調子が良く、素晴らしい一日になるだろうと思っていた矢先。頭が破裂してしまったのかと誤解してしまうほどの激痛と共に、全く知らない人間の記憶が濁流のように流れ込んできたのだ。


子供よりも何年も生きた大人の記憶、何故か今まで封じられていた前世の記憶。そんな莫大な情報量を処理するために私の脳は働き続け、結果として三日ほど高熱に魘される事態になってしまった。



(ま、今はちょっと体がだるいってこと以外は万全な状態なんですけどね! この通り思考も冴えてる!)



いや~、その節はマジで心配おかけしました。パピィとマミィのおかげでこの通りピンピンしてますとも。ほらほら、この通りジャンプも……、いや体幹が弱すぎてバランス取れねぇな。やめとこ。相変わらず体は弱いままだけど今の私の頭脳は大人と同じなのでね、なんでも任せてくださいな。頭脳労働ならばっちりですぜ?


文字はちょっと手が小さすぎて書けないですけど、計算ぐらいならどんとこいってもんです!


 ……え、寝てろって? んな殺生な。というかパピィもマミィも私にかかりっきりでろくに畑の面倒見れてないんでしょう? ほら最近気候も安定しないし、大地の恵みも全然だから大変なんでしょ? 今の畑の作物がダメになったら普通に冬越せなくて一家心中なんでしょ? ある程度動けるまで回復したし、自分の尻は自分で拭くから仕事行ってきな!




(とまぁそんな感じで、半ば無理矢理両親を家から追い出して考える時間を捻出した訳だけど……。)






「なんで『永遠のアルカディア』の! 曇らせの『ティアラ』に転生してるんですか私はァ! もう少しキャラ選べ!!!」



この顔! この記憶! 記憶の中にある幼馴染たち! 村の風景! 全部知ってる! 詰み! 終わり! 試合終了! 


説明しよう! 『永遠のアルカディア』とは! とある紳士御用達ゲーム販売サイトにて驚異の100万DLを達成した驚異的なR18ゲームである! 紳士ご用達ゲーム界隈と言えば、1万DLで大成功というかアニメでいう今期の覇権レベルなのにその100倍である!


それまで紳士ご用達サイトを知らなかった人まで呼び寄せて沼に引きずり込んだというまさに時代を作っちゃったゲーム! お値段なんと7980円! 高ケぇ! だが買う! お値段以上だ!


ジャンルは異世界ファンタジー戦略シミュレーション! 主人公がのどかに暮らしていた王国に突如として攻め込んできた帝国! 主人公たちは村の友人たちと共に王国を救い、悪の帝国を倒すために戦うという一見どこにでもありそうな内容! だが、王国と帝国が抱える宗教的な問題や、王国が信仰している神も帝国が信仰している神も、両方性根が終わっていたりする!


単なる戦争ゲームではなく、まさに異世界の歴史を追体験するようなゲームなのだ!



「そう! 普通に、いや普通以上に面白い! だが転生先の世界ぐらい選ばせろォ!」



えちちシーンは勿論、シナリオ自体も濃厚で胸熱、いや胸糞! キャラにのめり込めば込むほど、愛が深ければ深いほど心が受けるダメージが増えるという親切ならぬ心殺設計! 進めば進むほど戦況が悪化し仲間が死んでいく陰鬱とした雰囲気が売りだけど、そんな絶望的な状況の中でも希望を捨てないという主人公たちの輝き! けど最終的に全部なくなる! 全部壊れる!



(一応ハッピーエンドはあるがそれも心がボロボロになってからじゃないと選べねぇ! なんでシナリオ全回収後にしかアンロックされねぇんだよぉぉぉ!!!!!)



あ? なんでそんなのプレイしてかって? んなもん決まってらァ! キャラとプレイヤーの心が壊れるまでの過程が! シナリオが滅茶苦茶いいんだ! しかもそもそものシミュレーション要素が面白過ぎて普通に傑作! これ別にR18要素なくても十二分に売れたんじゃねえの? と思ってしまうような作り込みしてるんだよ!



「えぇ! えぇ! 楽しんで2000時間以上プレイしましたとも! 全スチル回収するために全てのルート通りましたとも! そのおかげで日常生活に影響が出るくらい病みましたとも! でも何故かやめられなかったんですよねぇ!!!」



こちらのゲーム、主人公であるプレイアブルキャラクターの選択によってルート分岐するタイプ。


最初は敵が自分の国を滅ぼそうと侵攻してきてるから追い返そうぜ~、というテンションなのだが、プレイヤーの選択によってそのまま敵国を追い返すだけに留まらず逆に侵攻しちゃったり、味方を裏切って敵国側に付いちゃうルートもある。


因みにだがプレイヤーに提示されるシナリオは大きく分けて4つ! なお全て曇らせルート! ハッピーエンドはすべてのビターorバッドエンドルートを回収した後に解放されるのだ! つまりキャラクター全員が幸せに過ごせる世界を目指すプレイヤーっていうのは、まさに身を削り、これまで死んでいった同胞の亡骸を踏みしめ、その死体の感触を足裏で感じながら進むしかないという地獄を通るしかないってこと! さらに公式からハッピーエンドルートの配信や動画投稿を控えるお達しが出てしまったため、逃避すら許されない!


お前ら(制作陣)人間じゃねェ!





……というわけで私がいる世界については大体わかったよな!


じゃあ次は自己紹介といこう! さぁ知るがいい! このティアラちゃんのことをな!


ティアラちゃんとは主人公が率いるユニットたちの中で回復役を務める『僧侶』の女の子! ひそかに主人公に思いを寄せているが、どこをどうしようと必ずヒロインに負ける“確定負けヒロイン”! 一定以上の好感度を稼ぐと告白して来るけど、主人公は『ごめん、メインヒロインちゃんがいるから……。』で断ってくるぞ! 選択肢なんかないぞ!



(まぁ涙ながらに『そうだよね! 変なこと言ってごめん……!』って言いながら走り去るスチルは正直熱いものを覚えたけど……。)



ユニットの評価としても単体回復の白魔法しか使用できず、相手を攻撃する方法がないというタダの案山子!


しかも物語の中盤では確実に被ダメージ量と回復速度が釣り合わなくなってしまい、さらに後に登場する範囲回復魔法が使えるユニットへと乗り換えられてしまうという悲しい性を持つ弱ユニット!


転職システムがあるため回復専門職である『僧侶』以外の職に就かせることもできるが、体が弱いせいか攻撃力も防御力もカス! 初期値だけじゃなくて成長性もカス! ゴミ! 多少魔法攻撃は得意だったが、最大HPの成長率がクソオブクソ! 作中最低レベルなのですぐ死ぬ! 遠距離戦でも撃ち負ける! 近接じゃ瞬殺! 誰が使うんじゃこんなクソユニット!




ティアラちゃんは物語の敗北者じゃけぇ!




しかもこの子! 産廃キャラとして途中で捨てられることを制作陣が予想していたのか! というかそういう目的で作ってたのか! ほぼ全部のルートで悲惨な死を迎えている!


通常ルートである敵国である帝国を王国領から追い出すシナリオでは、味方が大敗北を喫する戦いがあるのだが、これは主人公たちが敵の策にハマり主人公が所属する部隊以外全滅するというイベントになっている! 新規プレイヤーが絶対に通るイベントだから最初の難関(プレイヤーの心の)って言われてるやつね!


んで、その時主人公たちも結構な被害を受けるんだけど、確定でティアラ(私)は敵に捕縛され凌辱、早い話たくさんの男に玩具にされるのだ。しかも遊び終わった後は情報漏洩防止のために首を刎ねられてポイ! である。人の心とかないんか???



(一応主人公たちも私奪還のためというか、生き残るために帝国軍に反攻作戦を仕掛けるんだけど……。)



レベリングして、陣容を整えて挑めばちゃんと勝てる相手。けれど占拠した敵陣から出てくるのは、すでに物言わぬ死体となった私! 色々白くなってカピカピした死体がお出迎え! もちろん全裸の一枚絵がドーンと表示されるぜ! エッチだろ! エッチって言え!!! ……なんで制作陣はこんなスチル用意したんだ? 精神異常者?


ち・な・み・に♡ 私を戦いに連れて行かず村に置いていくっていう選択肢もあるにはある! でもその場合村が盗賊に襲われて主人公の知らぬ間に壊滅! 私ことティアラちゃんは村を破壊しつくした盗賊さんたちみんなのお嫁さんに! R18な行為に体が耐え切れず盗賊さんたちの拠点で冷たくなるっていうストーリーが用意されてるぞ♡



「自分の国や村を襲って破壊しつくした敵たちに無理やり組み伏せられ? エロゲお決まりの"体は正直"をされ? 主人公に謝りながら堕ちていく様子は正に芸術品と言っても過言。……それが私じゃなければもっと良かったがなァ! 最終的に全部死ぬじゃねぇか!!!」



まぁ他にも色々あるし、ルートごとに違う私になって最終的に同じような結末を迎えるんだけど……。この子ハッピーエンドのルートでもそんなに救われてないんだよね。


プレイヤーが全てを知っている状態で、ゲーム側もフラグを全て立て終わっていれば一応私も最後まで生き残ることができる。やっぱりティアラちゃんは負けヒロイン。通常のルートでは戦中に告白して来るが、ハッピーエンドのルートじゃ最後までこの子は告白してこない。


ずっと好意を抱いていた主人公くんに長年胸に温めていた思いを告白するんだけど、……まぁ普通にフラれる。選択肢しだいでは主人公がティアラちゃんを抱いたかのような描写がされるんだけど、フラれる。そしてメインヒロインと挙式してエンディングへ。



曇らせエロゲ主人公として正しいのかもしれんけど、人間としてどうなの?



ティアラちゃんもティアラちゃんで主人公くんがヒロインちゃんを好きなことは理解してたから、通常ルートと同じように『うん。うん、そうだよね……。ごめんなさい、変なこと言っちゃって……。』と言いながら身を引く。


その後は生まれた村、つまり今私が住んでる村ね? ここに帰って来てゆっくりと余生を過ごすんだけど、エンディングの後日談で『教会のシスターとして子供たちに僧侶としての技を教えていたが、流行り病にかかって死んだ。』ということが伝えられちゃうのだ。



「いやどっちみち死ぬじゃねぇか! ……叫ぶと喉が裂けるな、肺も痛いしやめるか。」



ま、そんな感じで生まれながらにして色々終わっている幸薄系負けヒロインがこの私、ティアラちゃんなんですねぇ。



「いや何が『なんですねぇ』だこちとらどうあがいても死ぬしかッ、ゴホッ!」



おっとと、大声を上げ過ぎて血を吐いてしまいました♡ いや~、ダメだね。前世のノリで叫び声あげちゃ。この喉に違和感ある感じ、多分気管支あたりが傷ついたって感じかな? 多分肺がやられたわけじゃない。それは良かった。


うんうん、どうあがいても絶望なんだし、ここはゆっくり床に座って息を整えるに限る。



(よっこらせっく……、やめないかッ! いやほんとにやめよう私。この世界ロリコンもいるんだから。)



いや~、マジでどうしたらいいんでしょうね。現実逃避しすぎて脳内が意味わからんことになってる。


主人公に付いて行って村から出れば凌辱されて死ぬ、付いて行かなくても凌辱されて死ぬ、


運よく主人公くんがハッピーエンドルートを選べたとしても最終的に死ぬ。


というかそもそも戦争シミュレーションなわけだからイベントに到達する前に死ぬ可能性も大いにある。ゲームの方でもHPが0になったキャラはそのままロストしてたし、私も数回ティアラちゃんロストしてロードし直してた。ティアラちゃんクソ弱いし。


まぁ早い話がこのまま何もせず座しているままではお先真っ暗、人生オワオワリってわけだ。



(と、なると私が生き残るためにはただ受動的に物語を受け取るのではなく、自分で動かしていく必要がある。ということか。)



実際、私が『ティアラ』という問題を無視すればこの世界は私が楽しみ抜いた『永遠のアルカディア』の世界だ。関連グッズは全部買ったし、公式が出した資料集(ダウンロード販売・4980円)も買って読み込んだ。一通りプレイした後も、大手投稿サイトで『永遠のアルカディア』のタグが付いた作品を漁ったり、誰かの完走した感想を見て愉悦したりもした。


まぁつまり大好きな作品で、骨の髄までとは言わないがルート選択に必要なイベントの詳細ぐらいは頭に入っている。


エロゲと言えどフルプライスに恥じない作り込みがされたこのゲーム、曇らせ案件さえ自分に降りかからなければ普通のファンタジー異世界だ。やることだけやって楽しむってことは不可能ではない。……まぁそのやること、こなすべきイベントってのがクソ面倒なわけだが。



(ストーリー上で避けられないイベントとして、私が今いる大陸。それを治める神との戦いが挙げられる。ハッピーエンドでは討伐できるんだけど、以外のルートでは敗北するか封印するかの二択。どちらを選んだとしても最終的にこの大地は死に至り、人の住めない場所になってしまう。)



まぁその辺は長くなっちゃうので後々話をするとして……、まぁ簡単に言うとどうあがいても死からは逃れられないってわけだ。


問題の解決を主人公たちに丸投げして、自分だけどこかに逃げ出したとしても死ぬ可能性が非常に高い感じ。ゲーム内でも設定資料集でもこの大陸の外に何があるのか書かれてなかったし、別の大陸に逃げようとしてもそもそもそんなものはない。って可能性もありそうだしねぇ。


しかもプレイした経験でわかるんだけど、周回前提のゲームなせいか、初見じゃ絶対に選べない選択肢とか、絶対に無視しちゃうイベントとかあるし……。近くで監視しながらテコ入れしないと不安過ぎて夜も眠れない状態になりそう。




「よし、まずは目標を確定させよう。」




とりあえず第一の目標は、“死なないこと”。



折角このゲームの世界に来たんだし、楽しまなきゃ損だ。楽しむためには死ぬわけにはいけないし、結果的に死につながるようなイベントは避けなければいけない。住む場所が死の大地になっちゃったらどうしようもないからね? つまり主人公たちに付いて行くにしても、行かないにしても、原作知識って奴を活かして完璧なサポートをしてあげる必要がある。



んで、それに付随した第二の目標、“強くなること”。



この世界が戦略ゲーム。戦争をテーマとしており、どうあがいても戦いが避けられない以上、生き残るために力が必要になってくる。主人公たちに付いていかなくても、実際に戦場に出なくとも、これは変わらない。


物語の中盤に差し掛かるあたりで王国や帝国の現状を再確認する機会があるのだが、どこの村も土地がやせ細り十分に食を得れない状態に陥ってしまっている。そのため多くの者が盗賊に身をやつす様な状況で、自衛の能力はこの世界を生きる中で必須というわけだ。


そうなると、原作の様な体が弱く病気がちで紙装甲の私ではすぐに終わってしまう。殺されるぐらいならまだいい方で、性奴隷への道とか普通にあり得るから笑えないし、運よく生き残れたとしても主人公の選択次第じゃ凌辱からの現世サヨナラバイバイだ。


手っ取り早く自身の防御力や攻撃力を上げるためにはゲームの世界らしくレベリングが必須なわけだが、五歳児の幼女に魔物や人を殺せる力などない。




「……となるとやっぱり“アレ”、使うしかないか。」




原作知識を最大限活用し、生き残るぞ! 








〇ティアラ


白髪碧眼のどこからどう見て幸せにならなそうな女の子、体が細すぎて持ち上げたら折れそう。いや折れる。何も手を加えなければこのまま大きくなってしまうので、とにかく手を加える必要がある。ゲーム内評価は最下位で、彼女だけを編成したままシナリオクリアを目指すRTAこと苦行が存在していた。


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