共感した人は仲間
嬉野K
その人の
とある部屋の一室で、
「今日、集まってもらったのは他でもない。この箱の中身を確かめてほしいって話なの」
反応したのは三姉妹の一人、
「デッカイ箱だねぇ……人でも入ってるの? サプライズパーティ?」
「……もしかしたら入ってるのかもね。私も中身は知らないから」
人が1人くらいは入りそうな大きな箱。
その箱について問われたのは、三姉妹の一人
「最近インターネットで話題の箱ですね。都市伝説のようなものだと思っていましたが、まさか本物ですか?」
「たぶんそうね。知り合いから……中身を確かめてほしいって依頼があったの」
2人の会話に、
「都市伝説って何? 有名な箱なの?」
「そうね……」
「精神崩壊……?」
「うん。最低でも3日は精神的に追い詰められるらしいよ。場合によっては……自ら命を断ってしまうこともあるとか」
少し緊張感の増した部屋で、
「へぇ……そりゃ面白そうだねぇ」
「
「……そんな危険なものなの? 私たち3人でも?」
「警戒するに越したことはないって話。毒とか出るわけじゃないと思うけど……一応逃げる用意はしておいてね」
そう言われて、
そして箱を持った
「じゃあ……開けるよ」
そう宣言して、箱を開けた。
それからゆっくりと中を覗き込んで、数秒が経過。
「……ウソだ……」突然
「な、なに……? 何が見えたの……?」
「……」
「……どうやら本物みたいだねぇ……」
「お気をつけて」
そうして
いつの間にか、箱は閉まっていた。
「さてさて……鬼が出るか蛇が出るか……」そう言いながら、
「なにが入っているんですか?」
「……ノートが開いておいていあって……なにか書かれて――」言葉の途中で、
その並々ならぬ様子に、
「ど、どうしたんですか? なにか――」
「なんで……!」
そのまま
そんな様子を見ていた
自分の姉2人の能力は知っている。精神力も頭脳も尊敬できる2人だ。
その2人がまとめて行動不能になっている。話しかけても上の空のような返答しか返ってこなくなってしまった。
どうやらこの箱には……この世に存在しないはずのものが入っている。そしてそれは人間の精神を蝕んでしまうののであるらしい。
……
このまま逃げるべきだと
しかし……
「中身が、気になります」
あの2人をまとめてノックアウトするほどのなにかがこの箱の中にある。そんなものはおそらく……一生かかっても見つけることはできない。
興味が勝ってしまったのだ。絶対に開けてはいけないと言われると、開けたくなる。そんな心理現象があった気がする。
「ノート」中身のものをつぶやいていく。「ノートが開かれておいてあります。これは
本当にそれだけだった。他にはなにもない。
ではこのノートが何かしらの妖力を持っているのだろうか?
「日記でしょうか。日付は4年前の5月」考えを整理するため、
はて、この筆跡はどこかで見たことがあるような。
というかこの内容は、どこかで見たことがあるような。
そう思った瞬間、
「ウソだ」自分の姉2人が、同じ言葉を呟いた理由がわかった。「なぜこれがここに」
これは……3年前の自分が書いたものだ。姉2人のことを敬愛しすぎた末に書いていた『お姉様大好き日記』である。
最初は楽しく書いていた。しかし正気に戻って、
「焼却したはずなのに。この世には存在しないはずなのに」見られたら恥ずかしいと思って消し去ったはずなのに。「2人も同じものを見た? いや、それはおそらく違う」
もしも姉2人がこの日記を見たのなら、からかってきたはずだ。だが姉2人は、
つまり、この箱の中には……
「その人の黒歴史が入っている?」
それだけ言って、
……
箱の中身を見たものは精神崩壊を起こす。その箱の正体は、箱を開けた人物の黒歴史が入っている箱でしたとさ。
めでたしめでたし。
共感した人は仲間 嬉野K @orange-peel
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