第2話

田中さんに学校で放課後以外は可能な限り関わらないようにお願いされている。放課後にたまに一緒に遊んでいる。


 そして今日はカフェでゆっくりしている。


 「あの、優さんお願いがあります。」


 「どうしたの?」


「お金、貸して欲しいです。」


「いいよ。」


「良いんですか!」


「うん。田中さんは俺の唯一の後輩だから」


田中さんは俺に聞こえない声で何か言っている。こうやって聞こえない声で言う時がたまにある。


 「何か言った?」


「何でもないです。あの、出来れば1万ほど」


「いいよ、はい」


「あの、本当に良いんですか?」


「うん!俺はバイトして自分で稼いでるから親にも迷惑は掛からないし。」

深夜にバイトをかなり入れてるかいがあった。


「バイトほぼ入ってますもんね」


 「あれバイトしてるの言ったことあるっけ?」


 「・・・えっその、確かになんで知ってるんでしょうね。」

妹達はまだ中学だから情報を他から得るのは難しそうだし。まぁ多分バイトしてる所見たんだな。


「田中さん夜、出歩いたりしてる?」


「・・・っ!!たまにですけど」


「田中さん可愛いから夜はあまり外に出ない方がいいよ。」


「・・・口説いてます?」


「・・・確かにそうなるね!!ごめん違う、違う。」


「そうですよね。・・・」


また何か聞こえない声で何か言ってる。


 「とりあえず本当にお金ありがとうございます。大変申し訳ないのですが、返すのは当分後で良いですか?」


「いいよ、いつでも」


「ありがとう」


ーーーーーーーーーーーーーー


 正直、良くないことだが、誰かと金を貸し借りすることを夢見てたことがあったから、少し嬉しかった。


 もしかしたら、また貸して欲しいって言ってくるかも知らないからこれからは手持ち多くしとこ。


 ・・・いつも小さく呟く声、タイミング的にそうだよな。


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