(三)-8

 すると、さっき三人の外国人が出て行った通路の方から、誰かが来た。それはお父さんだった。左腕に怪我をしており、グレーの背広が血に染まっていた。

「お父さん!」

 女の子は叫んだが、お父さんは怖い顔をして、おじいさんに手に持った何かを向けていた。きっとあれが銃なのだろう。

「娘を離せ!」

「貴様、これが見えないのか。娘を殺すぞ」

 中国語なまりの日本語でおじいさんは答えた。

「卑怯だぞ」

「知ったことか。さあ、銃を捨てろ!」


(続く)

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