(二)-6

*** *** ***


 下野正司はコンテナ埠頭の入り口から出てきた。そして路上に停めてある車に乗り込むと、エンジンをかけた。

 そして正司はハンドルにうつぶせになり、大声で泣いた。大粒の涙の痕を運転席の床にいくつも作っていった。

 しばらくして落ち着くと、正司は右脇のホルダーから回転式拳銃を取り出した。シリンダーをスライドさせる。五つある薬室には全て弾丸が詰まっているが、その雷管部分に撃芯の打痕があるのは一つだけであった。正司はそれを確認すると、シリンダーを戻し、銃をホルダーへ戻した。

 正司の頬はまだ濡れたままだったが、ヘッドライトを点灯させ、サイドブレーキを解除してアクセルを踏み、車を発進させた。

 車は勢いよく、夜の埋立地を走って行く。


(続く)

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