(二)-3

 公安の男がそう言い終えると、停めてある車の脇を一台のバイクが前方から後方へと通り過ぎていった。

 市波はバックミラーでその姿を見た。夜なのではっきりとは見えなかったが、バイクを運転している人物は背中にリュックサックのような大きいものを背負っていた。

「いいんですか、行かせてしまって」

 助手席のドアミラーの中で小さくなっていくバイクのテールランプを凝視しながら六条巡査部長が尋ねてきた。

「良くはない。先月の死体、見ただろ。手練れの仕業だ。なら、アイツの仕業に間違いない。ただ、今のところ証拠がないんだよ。まあ、あいつがここで撃ってくれてりゃ現行犯でいけたんだがな。ともかく今は別の班のヤツが尾行する。問題ない」


(続く)

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