第4話

もうこの家を出ないといけない。


「・・・ご主人様」


そして、家を出るまえに宮と冬ちゃんには挨拶をしようと思った。


二人は学校で会うことも出来ないし、


「宮ちゃん、今までありがとうね」


「・・・いえ」


宮は下を向いて無反応だった。


「ご主人様、私はずっと思ってました」


「な、何を?」

宮は基本的に自分のことを話さない。遊園地に行った時のようにたまに自分のしたいことは言ってくれるが


だからどんな言葉が出るか、でもきっと嬉しいことを・・・


「ご主人様ってなんで、そんなにずるいんですかと」


「・・・え?」


「ご主人様って凄く裕福で私なんかといつも違う世界を生きてますよね。それが羨ましくて、本当にずるくて!!あーもうなんでこんなに同じなのに、違うんだろうと常々思ってましたよ!」


「・・・っ」

今まで聞いたことがない喋る量と顔も見たことがないような、苦しそうな表情だ。


「ご主人様、なのに、それを無くすようなことをして」


つまり、それって宮ちゃんも冤罪だと信じてないってこと??しかも、俺のことをそんなふうに思ってなんて


「ご主人様!!もう私と妹には合わないでください!!」


「・・・っ」


「拾ってくれたこと、生活を用意してくれたことは感謝してます!!

でも私はそんな最低のご主人様なんて、もう会いたくないです!!」


そして、宮ちゃんは行ってしまった。


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