魔戦車a むぐぐっ .
ズザザザザザザーーー!!
雪乃フルエレは必死過ぎて短時間でハンドル操作が向上したのか、運転が難しいサイドカータイプの
「す、すいませんっ、ぜんぜんっぜんぜんっ怪しい者ではないです! 助けて下さい!!」
フルエレが唇を震わせ必死に叫び終わるのとほぼ同時に、ガコッと先の尖った木材で守れた砦の柵の一部がスライドして開く。
(助かった!?)
それを見てほっとしてしまうフルエレ。
「お前かっ!」
「大人しくしろっ!」
すぐに開いた扉の中から、鉄のお鍋を頭に被ったりその蓋を盾代わりに持った様な粗末な装備の数人の屈強な男達が一斉に飛び出し周囲をキョロキョロ見回す。当然その間も人々の間をビュンビュンと魔法や矢が飛び交い、あちこちに突き刺さりドゴンドゴンと爆発音が響いている。
「あ、あの……」
フルエレは飛び出た男共に目を合わせず恐々声を掛けた。
「魔法防御展開!」
見た目に寄らず割と用心深いのか、華奢な少女を目の前にしても鉄の盾やお鍋の蓋の上からさらに魔法攻撃を防御する為の魔法陣を透明なビニール傘の様に展開する。
シュバーーッ!
「こいつ魔導士か?」
「違いますっ!」
フルエレが即答した途端に詠唱が聞こえた。
「
シュババッ!!
「ふぐっぐぐぐ、ふぐーーっ!?」
突如黄色い光の輪っかがフルエレの口をサルグツワの様に締め付けるのを手始めに、次々に光の輪が飛び少女のか細い全身に絡まり立っていられず溜まらずフルエレは転倒した。
ドサッ
「ほいさっ確保っ!」
すかさず屈強な男が米俵でも担ぐ様にがさっとフルエレを肩に抱え柵の入り口にそそくさと入り込む。
「ふぐーーーっ!!」
(ぎゃーーーっやっぱり捕まったあ!?)
一転してフルエレに死の恐怖と絶望感が溢れ、涙を流し首を振り続ける。
「ふぐっふぐっ」
(ごめんなさい、ごめんなさい……)
「底面良し! サイドカー内部良し!」
「お馬さんこっちだよ~~」
全く見た目に寄らず慎重な一団は、今度は馬の鞍と
ガコッ!
直後に尖った木材が突き出る木の柵の扉は閉じられた。
「優しく置けよ!」
「ほいさ」
「
詠唱が聞こえるとフルエレのサルグツワと体を拘束していた光の輪は全てスッと消えた。
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