跳弾狙撃手

第1弾 Gun And Magic

Gun And Magic（ガン アンド マジック）。通称GAM（ガム）。

二年ほど前に発売されたにも関わらず、未だに人気ランキングトップに殿堂入りしているフルダイブ型FPSゲームだ。

FPS、そうは言ったが実際にバトルロワイヤルで戦う武器の中には銃以外に剣、魔法もある、自由度が高いゲームである。

他にもオープンワールドの要素も持ち合わせており、飽きることの無いゲーム性が爆発的人気を呼んだのだろう。

そんなGAMをついに買った！！

あ、俺の名前は神薙（かんなぎ）楓（かえで）。特徴のないごく普通の高校生である。

とまあそんなことは置いておいて、初めてのフルダイブ！

色々不安はあるけれど……それよりも楽しみで仕方ない！！

まあベッドの上で考えていても仕方がない、そう思った俺は机の上に置いてあるフルダイブ専用の機械を手に取る。

ヘルメット型で、頭を覆うような形で装着するらしい。

説明書を見ても理解出来た部分が少なかったので、深く考えずにゲームするとしよう。

どういう理屈で動いているだとか気にしながらゲームしても楽しくないしね。

あとは……ここのスイッチを押すだけ。

耳元に設置されているスイッチを押し込む。

目をつぶり、眠りにつくような感覚になった――――――――――。

「…………お……眩し……。」

白い空間に立っていた。

目の前にはディスプレイのようなものが映し出されている。

「お、ちゃんと手がある。……おお！通り過ぎるぞこのディスプレイ！」

ディスプレイを通り過ぎたり、戻ったり、顔を近づけたりする。

正直この画面だけで数時間は遊べる気がする。が、それではせっかくGAMを買った意味が無い。

「えっとなになに……初期設定か。

名前ね。キーボードは……これか。」

表示されていたPC配列と同じキーボードで入力する。

《カナデ》

そうディスプレイに表示されると、次の表示に切り替わった。

「役職（ジョブ）か？……っと先に種族か。」

基本的にFPSには存在しえない種族と呼ばれるステータス。

このゲーム、GAMでは4つの種族に分けられる。

空を飛ぶことの出来る翼が使える【セラフィム】。

特徴として天使の輪、光臨が頭上にある。

物音を正確に聞き取り敵の位置を把握しやすい【テラビースト】。

特徴として獣耳、尻尾が生えている。

地面や壁を泳ぐことの出来る【セイレーン】。

特徴として尾鰭が腰の位置から生えている。

基本的にはこの3種の種族が人気だが、一応4つめの種族である、【ヒューマニア】と呼ばれる種族が存在する。

……端的に言えばこの種族はいわゆる縛りプレイ用の種族。

他の3種がそれぞれ特殊能力を持っているのにも関わらず、ヒューマニアは無し。

つまるところ現実世界の人間と変わらない種族なのだ。

まあそれぞれの種族の力を加味して戦うのがGAMの面白いところ、とレビューで見たので俺は【テラビースト】を選ぼうかな。

した事の無いゲームで縛りプレイは嫌だし。

それにせっかくのフルダイブゲーム、出来ない体験をしてみたいよな。

表示されているディスプレイに指で触れる。

身体は透き通るディスプレイだったが、指先はしっかりと反応するようだ。

やはり凄いなフルダイブ。

GAMが初めてのゲームで正解かもしれない。

……とこんなことを考えていてもしかたない。

次だ次。種族の次は

《職業を選択してください。》

だよな。

このゲーム、GAMは職業が多い事で有名でもある。

……って聞いてたけど10もあるのか。

どれにしようかな。

職業によって使える武器が違うのがこのゲームの肝なんだろうけど……。

「あ、これ面白そう。」

とりあえずは【跳弾狙撃手】にする事にした。