第3話 いざ、異世界へ!!

 僕は、反応に困っていた。

 急に何を言われたかと思えば、僕が1年も経たずして死ぬ?

 それに、転移じゃなくて転生?

 流石の僕でも理解が追いつかない…


「あのぉ〜、神様。一体どういうことなんですか?それに、今、転生って…」

「本当にすいません。これが転移魔法陣ならまだ良かったんですが…。邪神の野郎が、転生魔法陣なんて厄介なもん組んだせいで……」


 どうやら、邪神のバカタレのせいで来世の僕はとんでも仕様になっているみたいだ。

 悪い意味で。


「そもそも、なんでそんな早く僕は死ぬ事になってるんですか?」

「それはじゃな。邪神の馬鹿がお主に、呪いをかけたからじゃ。邪に連なるもの達から常に位置を把握され、邪なる者らが襲わなければいけないと思い込ませる呪い、スキルLvがあげられない呪い、一部のステータスを除き、全てが一般人以下に下がっていて、レベルをあげることが出来ない呪いじゃ。」

「・・・え。それって無理ゲー…」

「まぁ、普通はそうじゃな。じゃが、安心しろ。お主が死なぬようするため、わしが来た!!」


 主神様は胸を張ってドヤった。


「まず、位置が知られる呪いに関してじゃが、ワシが7歳まで、呪いの発動を抑える。じゃから、その歳までに自分を守る術を必死で習得してもらいたい」


 なんと、びっくり!

 初っ端から、僕任せだった。


「話は理解したんですけど、それって無理ゲーには変わりないですよね?」

「そんなことは無い!今から話す裏ステータスと、お主に渡すスキルがあれば、容易な事じゃ」


 ふむ、そういえばまだ、話の途中だったな。


「それで、残りの2つの呪いについてじゃが、これは逆にこちらにとって嬉しい誤算じゃ」

「???」


 スキルLvが上がらなかったり、ステータスが低いことが嬉しい?


「なんでって顔をしておるな。それはじゃな、転生時のステータスは、転生前を基(もと)として、担当神が世界の理(ことわり)を壊さないように調整するのじゃ。今回の場合だと邪神がお主の担当神になる」


 ますます、分からない。

 僕の担当神が邪神なら、好き勝手いじれるのでは?


「理とは、バランスじゃ。あの馬鹿は、魔力量と魔力防は攻撃性も高くないし、高すぎたところで別に怖くないだろうと、この2つの能力に他のステータス値分を調整して割り振ってしまったのだ。そのため、お主の魔力と魔力防がとてつもなく高く調整されておる。チートと言われても遜色ないくらいじゃ」

「はぁ。でも聞いてる限り、その2つが高くてもって気はします」

「そうじゃろう?あ奴もそう思って他のステータス分のポイントをそのふたつに極振りしたのじゃ。しかし、このふたつのステータスが高いということは、守ることに対してチート級の力を、発揮するということじゃ」


 はっ!?


「わかったようじゃな?つまり、お主は枯れない魔力量で強力な防御魔法が使えるということじゃ」


 !?

 ・・・なるほど。


「確かに、それ聞いて、死ぬ気はしなくなってきました」

「そうじゃろう。それにスキルLvが上がらない呪いに関しても、上がらない代わりに、ユニークスキルや、その上の階級のスキルの習得がしやすくなっておる」

「え!?それは凄い!!」


 という事は、頑張って使っていれば、いきなり強力なスキルに変化するということか……楽しそう!!


「そうじゃろう?あ奴は、昔からこういう凡ミスが多い」


 なんか、1周回って同情してきたな…

 まぁ、絶対許さんけど


「それじゃあ、次はお主に3つのチート級スキルを与える。お主のチートステータスと合わせることで、7歳までには必ず、どんな攻撃が来ても耐えることの出来るすべを身につけることができるじゃろう」


 ふむ、なるほど。

 それはそうと、お待ちかねのチートスキルの時間だ。


「どんなチートスキルが貰えるんですか?」

「チートスキルじゃなくて、チート級じゃ。実は、お主に与える予定の本当のチートスキルは、まだ世界に落とし込むまでは、まだ完成しておらんくての。前世に関係があるスキルだけ与えておくのじゃ」


 そういう事か。

 しかし、チート級と言っているのだ。

 絶対強いスキルに違いない。


「何から何までありがとうございます」

「スマンの。チートスキルは、完成次第与えるから、転生後の楽しみとしておいとっておくれ」

「了解しました。それで、スキルの内容ってどんなのなんですか?」

「うむ、スキルというか魔法じゃな。神・空間魔法、神・召喚魔法、神・結界魔法 (ユニーク)の3つじゃな。特に結界魔法は、ユニーク魔法と呼ばれる世界にひとつしかない魔法じゃ」


 主神様が魔法名を言っていくと、突然空中に文字が浮かびだした。

 結界魔法の文字だけ光り輝いており、ほかの魔法名はうっすら輝いているだけだ。

 僕の前世が影響しているらしいので、空間魔法が僕だけが使えた陰の元素で、召喚魔法は式神のこと、結界魔法は僕が得意だった九字護身法のことだろう。


「なるほど。確かに、このスキルなら、僕が使っていた術に似てるから、使いやすそうですね。」

「そうじゃろう?それに、最高域まで強化しとるから、魔力攻が低くても、ある程度最初から高出力で魔法が使えるぞい」

「凄い!至れり尽くせりですね!ても、最初から、最高ランクの力使って、自滅したりしないですか?」

「それは、大丈夫じゃろ。お主は元々、神気を操れるぐらいに制御力は、あるんじゃから。全ては、その応用じゃよ」


 神気を操れる様になることが、こんな時に役に立つとは。

 主神様と話していると、突然世界が暗くなり、地面だけ光り輝く状態になった。


「邪神に気づかれたようです。あと数分で、転生が完了してしまいます」

「ふむ、意外と早かったな。腐っても、元12柱だけのことはある。すまんな、もっと他にも説明したかった所じゃが、バカが気づいて、転生を早めてしまったようじゃ」


 なんと!?

 僕も、呪いとスキルについて聞いただけで、他にも聞きたいことが山ほどあったというのに…


「仕方ない…。スキルとしてもうひとつ、世界のアカシックレコードに接続できるスキルを与えておくのじゃ。聞きたいことがあったら、そいつに聞いたらいい」

「おぉぉ、マジすか!何から何までありがとうございます」


 3つのスキルにプラスして、ガイドスキルっぽいのも獲得できたみたいだ。

 これで、安心して、転生できる。


「最後に、酒呑童子についてじゃ」

「わしですか?わしも大将と一緒に転生するんじゃないんですか?」

「それは、そうなんじゃが。お主は人間じゃなく、魔物として転生することになっておる。それから、呪いに関してもお主にはかかっておらん。よって、お主は少しの間わしらの所で鍛えて、主人を守れるぐらい強くなってもらう」


 つまり、このまま転生すると、今より弱い状態で転生されるため、僕を守るには力不足になる。

 そのため、主神様達で鍛えてから、僕の元に来るということか。


「分かりやした。すいません、大将。なるべく早く向かうようにします。主神様よろしくお願いします」

「あい、分かった。任せておれ、最強にしてやる」

「主神様、そろそろ」


 僕たちが話している間にも周りから足場がなくなりつつある。


「では、お主も頑張ってな。チートスキルも楽しみにしておけ。多分、10歳の時期には落とし込めておるはずじゃ」

「分かりました。何から何までありがとうございます。無茶苦茶なチートスキル、楽しみに待ってます!!」


「蓮殿、今回はすいませんでした。私が言うのもあれですけど、私の世界は景色だったり街並みが綺麗なところがたくさんあるので、ぜひ興味があれば観光など楽しんでください!」

「ありがとうございます。僕、前世では旅行とか好きだったんですよね。外に行けるようなったら、冒険とかしてみたいと思います」


「大将、頑張って。ワシが来るまで何とか生きといてくださいよ?」

「舐めんな。僕は、天才最強陰陽師だぞ。もしかしたら、来た時には、しゅんちゃんがいらない子になってるかも!」

「もう、10秒で転生します」


「主神様、ハロ様。ありがとうございました。しゅんちゃんも頑張って!僕は、異世界を楽しんでこようと思います!」


 次の瞬間、僕たちの足場が一気に崩れ、僕は深い闇に落ちていった。




 ※※※※※




「はて?あ奴の容姿について、説明したっけ?」

「あぁぁぁぁ、言ってない、言ってないですよ!!あぁぁぁ、ほんとどうしよう…」

「なんですかい、大将の容姿がどうかしたんですか?」

「いや、何でもない。まぁ、あ奴のことじゃ、何とかするじゃろう。そんなことよりも、スキル作成と酒呑童子のことじゃ。ビシバシ行くぞい」

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